テニスでは、特にペアで戦うダブルスにおいて「声を出すこと」が非常に重要です。
試合中に声を掛け合うことで、ペアの雰囲気を高めたり、苦しい場面でも前向きに戦う力になります。
しかし、ペアテニスにおける声の役割は、単純に気合いを入れるためだけではありません。
ダブルスでは、2人の選手がコートを分担しながらプレーします。
相手の攻撃、味方の状況、空いているスペース、次の展開を瞬時に判断しながら戦う必要があるため、「いつ」「どんな声をかけるか」がプレーの質を大きく左右します。
声は、ペアの連携を高めるための重要な技術の一つなのです。
声の役割① 情報を共有し、判断を合わせる
ペアテニスで最も重要な声の役割は、状況を共有することです。
例えば、
「任せて!」
「取れる!」
「チェンジ!」
「前出る!」
「後ろお願い!」
「ナイス!」
など、プレーの判断を合わせるための声があります。
ダブルスでは、1人で全てのボールを処理することはできません。
そのため、どちらが対応するのか、どのように守るのかを瞬時に共有する必要があります。
特に、中央のボールや速い展開では、一瞬の迷いが失点につながります。
声によってお互いの意図を伝えることで、ペアとしてスムーズに動くことができます。
声の役割② ペアの動きを連動させる
ダブルスでは、2人の動きがバラバラになるとコートに大きな隙が生まれます。
例えば、
・前衛がどこを狙うのか
・後衛がどこを守るのか
・攻撃後にどの位置へ戻るのか
など、ペアで共通認識を持つことが重要です。
「前出る!」
「下がる!」
「ストレート注意!」
「ロブ来る!」
といった声によって、お互いの動きを合わせることができます。
テニスは個人競技の要素が強いスポーツですが、ダブルスでは「2人で1つのチーム」として戦う能力が求められます。
声の役割③ メンタルを整え、流れを作る
テニスでは、技術だけではなく精神面が結果に大きく影響します。
ミスが続いた時、相手に流れが傾いている時、重要なポイントを迎えた時に、どのような声を掛け合えるかが重要です。
「大丈夫!」
「次いこう!」
「切り替えよう!」
「まだある!」
という前向きな声は、ペアの集中力を維持する力になります。
また、声を出すことで自分自身の気持ちも整理され、次のポイントへ向けて準備することができます。
大切なのは「大きな声」ではなく「伝わる声」
ペアテニスでは、ただ大きな声を出せば良いわけではありません。
重要なのは、相手や状況に合わせて必要な情報を伝えることです。
例えば、
プレー前には、
「狙いを合わせる声」
「作戦を確認する声」
が必要です。
プレー中には、
「ボールへの対応を伝える声」
「相手の動きを知らせる声」
が必要になります。
また、声の大きさやトーンも重要です。
緊張する場面で焦らせるような声ではなく、安心感を与える声。
攻める場面では勢いを作る声。
状況に応じて声を使い分けることが、ペアのパフォーマンス向上につながります。
良い声は「観察力」と「判断力」から生まれる
質の高い声を出すためには、周囲を見る力が必要です。
自分のプレーだけに集中していると、相手や味方の状況を把握することができません。
相手のフォーム、ボールの軌道、味方の位置、コートの空いている場所を見ることで、初めて価値のある声になります。
つまり、良い声を出せる選手とは、周囲を観察し、次の展開を予測できる選手です。
声もペアテニス能力の一部
ペアテニスにおいて、声は目に見えない技術です。
ショットの技術、フットワーク、体力だけではなく、
・情報を共有する力
・ペアの動きを合わせる力
・相手の状況を伝える力
・苦しい場面で支え合う力
も競技力の一部になります。
強いペアほど、ただ声を出しているのではありません。
必要な場面で、必要な情報を、相手が行動につなげられる形で伝えています。
「声を出す」という行動を、単なる気合いや盛り上げではなく、ペアの連携を高めるためのコミュニケーション能力として考えることが、ダブルステニスの競技力向上につながります。

