軟式テニスでは、ラリーが長く続く試合後半になると、フットワークの俊敏性や打球速度が低下しやすくなります。

これは単なる体力不足だけでなく、下半身・体幹・上半身の筋持久力不足や神経系疲労が原因です。

疲労が蓄積すると、脚のステップが鈍り、回旋力が落ち、正確なスイングが難しくなります。

試合後半でもパフォーマンスを維持するためには、疲労に強い筋肉と神経系を同時に鍛えるトレーニングが不可欠です。

特に学生選手は成長期の骨や関節に負担をかけすぎない範囲で、効率的に鍛えることが重要です。

パフォーマンス低下の原因

  1. 下半身の疲労
    • 前後・左右への移動を繰り返すことで、大腿・殿部の筋力が低下
    • 脚の爆発力が落ち、フットワーク速度が低下
  2. 体幹・上半身の疲労
    • 腹斜筋・背筋・肩周囲の回旋力が低下
    • スイング速度や打球精度が減少
  3. 神経系の疲労
    • 脳から筋肉への信号伝達が遅れる
    • 認識から動作開始までにタイムラグが生じ、素早い反応ができなくなる
    • 目安として、認識から動作開始まで約200〜300msが理想

試合後半でも安定させるトレーニング

1. 下半身持久力

  • 目的:ラリー後半でも素早いステップを維持
  • ドリル例:サイドステップ+ラケットスイング20秒×8セット、クロスステップ+ボールキャッチ3セット
  • ポイント:接地時間を短く、膝・股関節を安定させる

2. 体幹持久力

  • 目的:回旋力を維持し、打球速度を落とさない
  • ドリル例:メディシンボールツイスト15回×3セット、サイドプランク+ラケットスイング左右30秒×2セット
  • ポイント:体幹と腕を連動させ、回旋動作を安定させる

3. 上半身持久力

  • 目的:サーブ・ストロークの回旋力・速度維持
  • ドリル例:ラケットスロースイング15回×3セット、軽負荷ショルダープレス+回旋15回×3セット
  • ポイント:肩・腕・前腕の連動を意識し、疲労時もフォームを崩さない

4. 神経系連動

  • 目的:疲労下でも反応速度・動作精度を維持
  • ドリル例:ラダー+打球反応30秒×5セット、片脚ホップ+ボールキャッチ左右10回×3セット
  • ポイント:認識から動作開始まで約200〜300msを意識

実施イメージ(週2〜3回)

  1. ウォームアップ(ジョグ+ラダー)5分
  2. 下半身持久力ドリル 15分
  3. 体幹持久力ドリル 10分
  4. 上半身持久力ドリル 10分
  5. 神経系連動ドリル 10分
  6. クールダウン・ストレッチ 5〜10分
  • 強度は「疲労は感じるがフォームは崩さない」を目安
  • 短時間で集中して行うことで、試合後半でも安定したフットワーク・打球速度を維持可能

まとめ

  • 試合後半のフットワーク・打球速度低下は、筋持久力不足と神経系疲労が原因
  • 下半身ステップ、体幹回旋、上半身スイング、神経系連動を組み合わせたトレーニングで疲労耐性を高める
  • 短時間集中の週2〜3回の実施で、最後まで安定したプレーが可能
  • 栄養・休養も組み合わせることで、成長期の学生でも安全かつ効果的にパフォーマンス維持ができる

このトレーニングを継続することで、疲労が蓄積しても俊敏なフットワークと高速度の打球を維持できる選手に成長できます。