STRETCHING / CONDITIONING

「身体が硬いから、とりあえずストレッチ」
になっていませんか?

ストレッチは身近な方法ですが、
目的によって期待できることは違います。

この記事では、
「した方がいい・しない方がいい」という二択ではなく、
何のために、どう使うか
という視点から整理します。


可動域

筋肉痛

障害予防

運動前


この記事の結論

ストレッチは有効な手段。
ただし、すべての目的に万能ではありません。


可動域
広げる方法として活用できる

筋肉痛
軽減効果は大きくない

障害予防
ストレッチだけでは考えない

運動前
その後の準備運動まで考える


目的によって、ストレッチの役割は変わる


目的

研究の整理

どう考える?
可動域を広げる
比較的支持
ストレッチは有効な選択肢。筋力トレーニングでも改善する場合があります。
筋肉痛を減らす
効果は小さい
運動前後のストレッチで、DOMSを大きく減らす効果は期待しにくいとされています。
障害を予防する
根拠は限定的
ストレッチだけではなく、筋力・負荷管理・回復なども含めて考えます。
運動前に行う
条件による
静的ストレッチだけで終えず、その後の動的ウォームアップまで考えます。


ストレッチ研究では、何が調べられている?

2024年のスコーピングレビューでは、
健康なアスリートを対象とした
300試験・7,080人
のデータが整理されました[1]。

300
試験
ストレッチ研究

7,080
人
参加者

5
試験
傷害関連


300試験で扱われていたテーマ

各項目を扱った試験の割合[1]

パフォーマンス89.7%

筋力・パワー49.7%

可動域41.0%

スピード20.3%

方向転換12.3%

傷害関連
1.7%
300試験のうち、傷害関連を扱ったのは5試験でした。

※複数項目を扱う研究があるため、割合の合計は100%になりません。


ストレッチをすれば、ケガを防げる?


1.7%

5 / 300試験


傷害そのものを調べた研究は少ない

300試験のうち、
傷害関連を評価した研究は5試験でした[1]。

このため、

「ストレッチをすればケガを防げる」

と単純には結論づけられません。


研究から比較的言えること

  • ストレッチで可動域は改善する
  • 筋肉痛への効果は小さい
  • 長い静的ストレッチ直後は筋力に影響する場合がある


単純には言えないこと

  • 柔らかければケガをしにくい
  • ストレッチだけで障害を防げる
  • 可動域が増えた=筋肉が長くなった


筋肉痛にはどのくらい効く?

強い運動の翌日などに起こる筋肉痛を
DOMS(遅発性筋肉痛)
と呼びます。

運動前ストレッチ

−0.52
100点満点中

運動後ストレッチ

−1.04
100点満点中


結果の見方

Cochraneレビューでは、
運動1日後の筋肉痛に対する差は小さく、
臨床的に重要な軽減とは判断されていません[2]。


運動前は「ストレッチだけ」で終わらせない

長い静的ストレッチの直後は、
最大筋力が一時的に低下する場合があります[3]。

STEP 1


必要なら
ストレッチ


→

STEP 2


動的
ウォームアップ


→

STEP 3


競技・運動へ


ポイント

「静的ストレッチ=ダメ」ではありません。
その後に何をするか
まで含めて考えます。


可動域を広げる方法は、ストレッチだけではない

「身体を柔らかくする=ストレッチ」
というイメージがありますが、
筋力トレーニングも選択肢になります。

11
研究

452
人

有意差なし
可動域改善

2021年のメタ解析では、
筋力トレーニングとストレッチによる

可動域改善量に統計学的な有意差は確認されませんでした
[4]。


ストレッチ
  • 伸ばして可動域を使う
  • 手軽に行いやすい
  • 目的やタイミングで使う

≒


筋力トレーニング
  • 可動域を使いながら負荷をかける
  • その範囲で力を出す
  • 動きのコントロールにつなげる


可動域が広がる=筋肉が長くなった?

2025年のメタ解析では、
65研究・1,542人
を対象に、静的ストレッチによる変化が分析されました[5]。

スティッフネス
↓
低下

伸張への許容
↑
増加

筋束長
→
有意な変化なし


つまり

「筋肉そのものが長くなったから柔らかくなった」
だけでは説明しきれません。


WiSPでは「硬いから伸ばす」で終わりません

ここからは研究結果そのものではなく、
WiSPでの実際の指導方針です。

例えばスクワットでしゃがみにくい場合でも、
すぐに「身体が硬い」と決めつけず、
動き全体を確認します。

STEP 1

動きを確認

STEP 2

可動域を確認

STEP 3

方法を選択

STEP 4

動作で再確認


可動域
足首・股関節など

筋力
その範囲で力を出せるか

コントロール
体幹・バランスなど

実際の動作
日常・スポーツにつながるか


実際にはどう使い分ける?


静的ストレッチ
必要な関節可動域を確保したいとき。


動的な運動
動きながら可動域を使い、ウォームアップにつなげたいとき。


筋力トレーニング
可動域の中で、自分で力を出せるようにしたいとき。


実際の動作
スポーツや日常生活の中で使えるか確認したいとき。


痛みがある場合は、無理に伸ばさない


次のような場合は注意してください

  • 強い痛みを我慢しながら伸ばしている
  • 痛みが長く続いている
  • 日常生活やスポーツに支障がある
  • 腫れや明らかな外傷がある

必要に応じて医療機関への相談も検討してください。


まとめ

  • ストレッチは可動域を広げる選択肢になる
  • 筋肉痛や障害予防までストレッチだけで考えない
  • 可動域改善には筋力トレーニングも選択肢になる
  • 最も重要なのは「何のために行うか」を決めること


自分には何が必要か分からない場合

ストレッチをしても変化を感じにくい、
身体が硬い原因や動き全体を確認したい場合は、
身体の状態に合わせて一緒に整理することもできます。


参考文献

  1. Afonso J, et al.
    What We Do Not Know About Stretching in Healthy Athletes:
    A Scoping Review with Evidence Gap Map from 300 Trials.
    Sports Medicine. 2024;54:1517–1551.

    原文
  2. Herbert RD, de Noronha M, Kamper SJ.
    Stretching to prevent or reduce muscle soreness after exercise.
    Cochrane Database of Systematic Reviews. CD004577.

    Cochrane
  3. Warneke K, Lohmann LH.
    Revisiting the stretch-induced force deficit:
    A systematic review with multilevel meta-analysis of acute effects.
    Journal of Sport and Health Science. 2024;13(6):805–819.

    DOI
  4. Afonso J, et al.
    Strength Training versus Stretching for Improving Range of Motion:
    A Systematic Review and Meta-Analysis.
    Healthcare. 2021;9(4):427.

    DOI
  5. Ingram LA, et al.
    Mechanisms Underlying Range of Motion Improvements Following Acute and Chronic Static Stretching:
    A Systematic Review, Meta-analysis and Multivariate Meta-regression.
    Sports Medicine. 2025;55:1449–1466.

    PubMed

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