GOLF × MOVEMENT

ゴルフの身体づくりというと、
「身体を柔らかくした方がいい」と考えることがあります。

しかし、スイングに必要なのは単純な柔軟性だけではありません。
必要な場所が動き、その動きを支え、適切なタイミングでコントロールできることまで含めて考えることが大切です。

01 / MOVEMENT FOUNDATION

可動域だけを見ない。身体の動きは4つの要素で考える

大きく動けることは重要ですが、それだけで質の高いスイングになるわけではありません。
身体の状態を見るときは、次の4つを分けて考えると整理しやすくなります。

01 / MOBILITY
関節可動域
関節がどの範囲まで動けるか
02 / STRENGTH
筋力
動かす・支えるための力
03 / STABILITY
安定性
姿勢や関節位置を保つ能力
04 / MOTOR CONTROL
運動制御
動きをタイミングよく調整する能力
POINT
「柔らかい身体」を目指すのではなく、
必要な可動域を自分でコントロールして使える身体を考えることが重要です。

02 / WHOLE BODY

ゴルフスイングは全身の連動でつくられる

スイングでは一つの関節だけが動くわけではありません。
足元から股関節、骨盤、胸郭、肩へと複数の部位が関わります。

部位 主に確認したい動き スイングでの考え方
足関節 背屈など アドレス・荷重移動を支える
股関節 内旋・外旋・屈曲・伸展 骨盤回旋や左右への荷重移動に関与
胸椎・胸郭 回旋・伸展 上半身の回旋や姿勢保持に関与
肩関節 屈曲・回旋など トップやフォローでの上肢位置に関与
肩甲帯 上方回旋・胸郭上での移動 腕と体幹をつなぐ

※必要な角度は年齢、身体特性、測定姿勢、スイングスタイルなどによって異なるため、特定の角度を全員共通の「合格基準」として扱うものではありません。

03 / KINETIC CHAIN

「どこか一つが硬い」で終わらせない

身体は複数の関節が協力して動きます。
そのため、ある部位で十分な動きをつくれない場合、別の部位の動きが増えることがあります。

STEP 01
動きにくい
必要な動きを
つくりにくい
→
STEP 02
他で補う
別の部位の
動きが増える
→
STEP 03
動作が変わる
姿勢・軌道・
タイミング
たとえば股関節や胸郭の回旋が十分に使えない場合でも、
身体は別の方法でクラブを振ることができます。
そのため、見た目のスイングだけでなく「どこからその動きをつくっているか」を見ることが大切です。

04 / X-FACTOR

Xファクターは「ひねればひねるほど良い」ではない

ゴルフでは、胸郭・肩のラインと骨盤の回旋差を表す考え方として
Xファクターが使われます。

CONCEPT
UPPER BODY
胸郭・肩の回旋
−
PELVIS
骨盤の回旋
回旋差 = Xファクター

ただし、Xファクターを大きくすること自体が目的ではありません。
スイングは三次元的な動作であり、測定方法によって数値も変わります。
身体能力やスイング特性を踏まえて評価する必要があります。

05 / MOBILITY × CONTROL

「動く」と「使える」は別

ストレッチで大きく動かせても、スイング中にその範囲をコントロールできるとは限りません。

状態 考え方 アプローチ例
可動域が不足 そもそも必要な位置まで動きにくい モビリティ・ストレッチなど
動くが不安定 範囲はあるが支えにくい 筋力・安定性トレーニング
単独では動く スイングではうまく使えない 運動制御・動作練習

06 / THORACIC ROTATION

胸郭の回旋を「腰のひねり」と混同しない

ゴルフでは大きな回旋動作が必要になりますが、
腰椎だけで大きく回しているわけではありません。
胸郭・股関節・骨盤などを含めた全身の動きとして考えます。

THORAX
胸郭
回旋をつくる
+
HIP
股関節
骨盤運動を支える
+
CONTROL
体幹
位置を調整する
ゴルファーの腰痛については、股関節可動域、骨盤・体幹回旋、筋活動、スイング技術など複数の要因が研究されています。
「胸椎が硬いから腰痛になる」と一つの原因だけで説明しないことが重要です。

07 / ASSESSMENT

ストレッチの前に「何が問題なのか」を確認する

回旋しにくいからといって、すぐに回旋ストレッチを行えばよいとは限りません。
まず、どこに制限があるのかを分けて確認します。

チェック 確認すること
胸郭 骨盤を必要以上に動かさず回旋できるか
股関節 左右の回旋や屈曲・伸展に大きな制限がないか
肩・肩甲帯 トップやフォローに必要な位置をつくれるか
足関節 アドレスや荷重時の下肢位置を保てるか
実際のスイング 単独テストと実際の動作がどうつながっているか

08 / WiSP COACHING

WiSPでは「動くか」だけでなく「どう使っているか」を見る

実際の指導では、関節可動域だけを測って終わるのではなく、
その結果が実際の動作とどう関係しているかを確認します。

01
評価
可動域・姿勢
→
02
動作
実際に動く
→
03
動画
客観的に見る
→
04
修正
再度試す
例えば胸郭の回旋を確認するときも、
単純に「何度回るか」だけを見るのではありません。

骨盤が一緒に動いていないか、姿勢を保てているか、
左右差があるかを確認し、必要に応じて実際の動作を動画で見ながら
「身体のどこを使って動いているのか」を整理していきます。

SUMMARY

ゴルフの可動域を考える4つのポイント

01 全身を見る
胸郭だけ、股関節だけで判断しない。
02 可動域だけを追わない
筋力・安定性・運動制御も合わせて考える。
03 代償動作を見る
「動けるか」だけでなく、どこから動いているかを見る。
04 実際のスイングへつなげる
評価結果と競技動作を別々にしない。
目指すのは「ただ柔らかい身体」ではなく、
必要な動きを必要な場面で使える身体。

参考文献

・Ehlert A. The effects of strength and conditioning interventions on golf performance: A systematic review. Journal of Sports Sciences. 2020;38(23):2720–2731.

・Carvalho CE, et al. Golf Swing Biomechanics: A Systematic Review and Methodological Recommendations for Kinematics. Sports. 2022;10(6):91.

・Edwards N, et al. Low back pain and golf: A review of biomechanical risk factors. Sports Medicine and Health Science. 2020;2(1):10–18.

・Sorbie GG, et al. Golf and Physical Health: A Systematic Review. Sports Medicine. 2022;52:2943–2963.

FROM KNOWLEDGE TO ACTION

身体を知ることから、
次の一歩へ。

記事で得た知識も、身体の状態や目的によって活かし方は変わります。 WiSPでは、今の身体や動きを確認しながら、一人ひとりに合った方法を一緒に考えていきます。

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