「私は痩せているのに、健康診断で脂肪肝を指摘された…」
こんな経験をされた方もいるかもしれません。一見すると矛盾しているようですが、実は痩せ型の女性にも脂肪肝は起こり得ます。
ポイントは、体全体の脂肪量ではなく、肝臓内の脂肪代謝のバランスが崩れていることです。
食べていないのに脂肪がたまる理由
食事量が少なくても、体は省エネモードに入り、脂肪の処理能力が落ちます。
筋肉量が減ると基礎代謝が低下し、摂取カロリーをうまく消費できません。
その結果、肝臓で脂肪酸が燃えきれず、中性脂肪として蓄積されるのです。
痩せて見える方でも、肝臓だけに脂肪がたまる「痩せ型脂肪肝(Lean NAFLD)」という現象は、特に女性に多くみられます。
これは体型だけでは健康状態を判断できないことを示しています。
1. 筋肉量の低下で代謝が落ちる
少食や運動不足が続くと、体は筋肉を分解してエネルギーを作ります。
筋肉は基礎代謝の大部分を担っているため、筋肉が減ると脂肪を燃やす力も低下します。
体重は変わらなくても、肝臓に脂肪がたまりやすくなるのです。
2. 肝臓で脂肪が燃えにくくなる
食事量が少ないと血糖が不足し、肝臓は脂肪酸をエネルギーとして使おうとします。しかし代謝が低いため、脂肪を完全に燃やせず、中性脂肪として肝臓に残ります。
これが、痩せていても脂肪肝になる直接的な理由です。
3. タンパク質不足で脂肪の処理が滞る
肝臓から脂肪を運び出すリポタンパク質を作るには、十分なタンパク質が必要です。
食事量が少なく、特にタンパク質が不足すると、脂肪は肝臓内に留まりやすくなります。
見た目は痩せていても、肝臓の中は脂肪でいっぱいになってしまうことがあります。
4. 栄養バランスの偏りでインスリン抵抗性
糖質やビタミン、ミネラルが不足すると、血糖のコントロールに必要なインスリンの働きが悪くなります。
インスリン抵抗性があると、血中の脂肪酸が肝臓に集まりやすくなり、脂肪肝を進める要因になります。
5. 運動不足が悪循環を生む
体を動かさないと、脂肪を燃やす機会が減るだけでなく、筋肉も減少します。
筋肉が減る → 代謝が落ちる → 脂肪が燃えにくくなる → 肝臓に脂肪がたまる、という悪循環に陥ります。
健康的な体づくりのポイント
痩せているから大丈夫、ではありません。
脂肪肝の核心は、筋肉量や代謝の低下、栄養不足による肝臓の脂肪処理能力の低下です。
改善のためには次の3点が重要です。
- 適切なタンパク質と栄養を摂る
筋肉や肝臓の代謝をサポートするために、毎食でタンパク質、ビタミン、ミネラルをバランスよく摂る。 - 軽い運動で代謝を上げる
筋トレやウォーキングなどで筋肉量を維持し、脂肪の燃焼を促す。 - 少食の習慣を見直す
食べないことよりも、必要な栄養をしっかり摂ることが代謝改善の鍵。
まとめ
痩せて見えても、体の中の代謝バランスが乱れると脂肪肝は起こります。
「痩せている=肝臓も健康」というわけではありません。
健康的でスッキリした体を目指すには、栄養・運動・代謝の3つを意識することが大切です。
小さな工夫で代謝を回し、肝臓に脂肪をためない生活習慣を作ることが、見た目だけでなく内側からの健康にもつながります。