投球動作で前腕屈筋群にかかる負担とは?
野球の投球動作では、肩や肘の負担ばかりが注目されがちですが、実は前腕の筋群も非常に大きな役割を担っています。
特に「終期コッキング期〜加速期」にかけては、肘に最大外反トルクがかかり、それに抵抗するために橈側手根屈筋・尺側手根屈筋・円回内筋などの前腕屈筋群が強く活動します。
この前腕屈筋群は肘の内側(内側上顆)から手首にかけて走行しており、投球中は急激な伸張と収縮を繰り返します。
そのため、微細な損傷や張りが蓄積しやすく、肘内側痛(内側上顆炎)、握力低下、前腕の張りといった不調の原因になることがあります。
特に学生野球では、成長期の骨や筋肉が未成熟な状態で高頻度の投球を行うことが多く、前腕屈筋群へのケアは非常に重要です。
フォームの乱れや疲労の蓄積は怪我のリスクを高めるため、日常的なコンディショニングにストレッチを取り入れることが推奨されます。
静的ストレッチの目的と効果
静的ストレッチは、筋肉を一定の姿勢でゆっくり伸ばす方法で、主に運動後のクールダウンや回復促進を目的として行います。
投球後に静的ストレッチを取り入れることで、以下の効果が期待できます。
- 筋緊張の緩和と血流促進
- 筋膜や腱の柔軟性向上
- 炎症の抑制と回復促進
- 肘・手首の怪我予防
- 翌日の疲労感軽減
前腕屈筋群は肘の安定性や手首の可動性に直結するため、柔軟性を保つことは投球フォーム維持にもつながります。
静的ストレッチは、投球直後や入浴後など、筋温が高くリラックスした状態で行うのが理想的です。
ストレッチ時の注意点
- 「痛気持ちいい」と感じる範囲で行う
- 無理に引っ張らない(筋や腱を傷める可能性)
- 呼吸を止めず、リラックスして行う
- 片腕ずつ、左右バランスよく伸ばす
特に疲労が強いときや違和感がある場合は無理をせず、アイシングや休養を優先しましょう。
前腕屈筋群の静的ストレッチ2選
ここでは、器具を使わず、どこでもできる前腕屈筋群ストレッチを2種類ご紹介します。
🎯 まとめ
投球動作における前腕屈筋群は、単なる握力や手首の動きだけでなく、肘の動的安定性やリリース精度にも深く関わっています。
特に終期コッキング期〜加速期にかけては外反ストレスに抵抗する重要な役割を担っており、その負担は想像以上に大きいものです。
だからこそ、投球後の静的ストレッチで前腕屈筋群をリセットし、柔軟性と血流を保つことが、怪我予防とパフォーマンス維持につながります。
日々の練習後に数分だけでも習慣化して、長く健康にプレーを続けられる身体を作っていきましょう。