テニスは全身を使う競技ですが、特に前後左右の体幹持久力がプレーの安定性に直結します。
体幹とは、お腹や腰まわりの筋肉と背中周辺の筋肉を含む、身体の軸を支える部位です。この体幹がしっかりしていることで、ラリー中に姿勢を崩さず、打球の力を効率的に伝えることができます。
長時間のラリーでは、下半身の疲労だけでなく、上半身の回旋力も徐々に低下します。ここで体幹持久力が不足すると、フットワークが乱れ、打球精度が落ち、肩や肘に過剰な負荷がかかります。
体幹持久力の役割とメカニズム
体幹持久力は単なる「お腹や背中の筋肉が疲れにくいこと」ではありません。
テニスでは、次の3方向に体幹が安定していることが求められます。
- 前後(前屈・後屈):前方への踏み込みや低姿勢でのスライド時
- 左右(側屈):サイドステップやクロスステップ、急な方向転換
- 回旋:サーブやスイング時の腰→肩→腕への力の伝達
ここで重要なのは、単純な筋力ではなく、神経系と筋肉の連動による姿勢制御です。
神経系が適切に働くことで、ラリー中に重心を微細に調整し、全身の力を効率よく打球に伝えられます。
トレーニングメニュー例
1. 静的体幹持久力(基本の安定力)
静的体幹持久力は、長時間ラリーでも姿勢を崩さない基盤です。
- プランク:肘とつま先で体を支え、腰が落ちないよう保持
- サイドプランク:横方向の安定性を強化
- 推奨時間:60秒以上保持、セット数は3〜5セット
ポイント:
- 呼吸を止めず、腹圧を意識して体を支える
- 肩や首に力が入りすぎないよう注意
2. 動的体幹持久力(実戦的安定力)
ラリー中は体幹が動きながら安定している必要があります。ここでは筋肉と神経の連動強化が目的です。
- スパイダーマンプランク:肘プランクの姿勢で片足を横に出す
- メディシンボール回旋:軽いボールを持って上半身を左右に回す
- サイドランジ+体幹保持:脚を横に踏み出しながら体幹を安定させる
ポイント:
- 上体のブレを最小化し、フットワークやスイングの動きと連動
- ラリーを想定した時間(30〜60秒)で反復
3. 実戦形式での応用
筋持久力だけでなく、神経系の疲労耐性も必要です。
- ミニラリーで低い姿勢を維持しながらボールを打つ
- サイドステップやクロスステップを意識したボール回し
- 長時間ラリーで打球精度を維持しながらステップを加速
この方法で、実際の試合と同様の負荷で体幹を鍛えられます。
押さえておきたいポイント
- 筋力だけでなく神経系との連動が重要
長時間ラリーでは、筋肉が疲れても神経系が適切に働けば姿勢を維持できます。 - 前後左右と回旋の全方向を意識
片方向だけ鍛えてもテニスでは不十分。全方向の安定性が求められます。 - 静的・動的・実戦形式を組み合わせる
静的で基盤を作り、動的で実戦適応力を高め、ラリー形式で疲労耐性を強化するのが最も効率的です。
まとめ
長時間ラリーでも崩れない前後左右の体幹持久力は、テニスでの安定したフットワークと打球精度を支える重要能力です。
- 静的トレーニングで基盤を作る
- 動的トレーニングで実戦に近い安定性を強化
- ラリー形式の練習で疲労耐性を養う