長距離(3000m以上)の学生陸上選手は、長時間の反復走行による脚や関節への負荷が大きく、オーバートレーニングによる疲労骨折や腱炎のリスクが高まります。
短距離や中距離とは異なり、走行距離の累積と接地衝撃の繰り返しが主な原因です。
疲労骨折・腱炎の仕組み
- 疲労骨折:脛骨、中足骨、足関節周辺など、繰り返しの接地衝撃で骨が微細損傷 → 回復期間が足りないと骨折に進行
- 腱炎:足首、膝、股関節周囲の腱にストレスが蓄積 → 炎症や慢性的な痛みに発展
長距離選手は、痛みを感じにくく走り続ける傾向があるため、早期にサインを見逃さないことが重要です。
長距離選手のリスク特徴
- 練習量が膨大:1週間で50〜100km走る場合もあり、累積疲労が骨や腱に蓄積
- フォーム崩れの影響:疲労で骨盤や体幹が沈むと、接地位置が後方にずれ、衝撃が集中
- 慢性化リスク:痛みや違和感を無視すると、復帰まで長期間かかる
リスク管理のポイント
1. 練習量の段階的調整
- 毎週の走行距離を急に増やさず、週10%以内の増加を目安
- 長距離は累積疲労が大きいため、少しの増加でも注意が必要
2. 低負荷の日を設定
- LSD(ゆっくり長く走る練習)や軽いジョグ、クロストレーニングを導入
- 回復を促し、骨や腱の修復を助ける
3. フォーム安定化
- 疲労下でも骨盤や上体を安定させる体幹トレーニングを並行
- 疲れた時の接地やピッチの乱れを最小化
4. 疲労・痛みの観察
- 微細な違和感も無視せず、休養日や軽めの練習で調整
- 成長期の学生は、成長痛と区別して注意深く管理
追加のケア・サポート
- 栄養:タンパク質、カルシウム、鉄分、ビタミンDを十分に摂取
- 睡眠:7〜9時間の質の高い睡眠
- ストレッチ・筋膜リリース:血流改善で微細損傷の回復を促進
- クロストレーニング:自転車や水泳で衝撃を減らしつつ心肺持久力維持
共通管理ポイント(短中距離と同様)
- 練習量と休養のバランスを優先
- 疲労・痛みのサインを見逃さない
- フォームを崩さず、偏った負荷を避ける
- 栄養・睡眠・ストレッチで修復をサポート
- 心拍や疲労感を数値化して客観的に管理
まとめ
長距離の学生陸上選手は、走行距離の累積と接地衝撃による疲労骨折や腱炎のリスクが最大です。
- 毎週の走行量は段階的に増やす
- 疲労末期でもフォームを安定させる体幹強化
- 疲れや違和感は早めに休養・軽め練習で調整
- 栄養・睡眠・ストレッチで修復力を高める
この管理を徹底することで、ケガを防ぎながら持久力を伸ばし、最後まで粘れる長距離選手に成長できます。