最近、小学生高学年〜中学生の男子アスリートの中で「痩せたい」と感じる子が増えています。

周りの選手と比べて体型を気にしたり、ユニフォーム姿を意識して体重を落としたくなる気持ちはよくわかります。

でも、まず伝えたいのは――今は“痩せる時期”ではなく、“育つ時期”だということです。

小学生男子の平均体格はどのくらい?

文部科学省「令和6年度 学校保健統計調査」によると、小学5〜6年生男子の平均身長・体重は以下のとおりです。

  • 小学5年生(11歳):約146.0cm/約40.0kg
  • 小学6年生(12歳):約151.5cm/約43.9kg

これはあくまで「平均」です。

これより大きい子もいれば、小柄な子もいますし、筋肉量が多ければ体重が多くてもまったく問題ありません。

数字だけで判断せず、「中身=体の状態」に注目しましょう。

成長期は「減らす」より「育てる」ことが大事

この時期は“成長スパート”と呼ばれ、身体が急激に変化します。

食事量や栄養が不足していると、以下のような影響が出ることもあります。

  • 身長が伸びにくい
  • 疲れやすい
  • ケガをしやすい
  • 集中力が続かない

特にスポーツをしている子どもたちは、練習や試合で多くのエネルギーを使っています。

食べることは、カラダを育てるための“トレーニングの一部”と考えてください。

「食べすぎてないつもり」が落とし穴になることも

「そんなに食べてないのに太る…」という子もいますが、実際には気づかないうちに食べすぎているケースが多いです。

お菓子やジュース、夜遅い時間の食事、食後のデザートなど、無意識のうちに余分なエネルギーを摂っていることがあります。

また、一度に大量に食べても吸収できる栄養には限りがあります。

特にごはんばかり大量に食べていても、体が処理しきれない分は脂肪として蓄積されてしまいます。

「食べてない」のではなく、「適切な量とタイミングで食べられていない」というケースが多いのです。

食事の基本は「定食スタイルの和食」でOK

難しい栄養計算は不要です。食事は「定食スタイル」を意識するだけで、バランスが整いやすくなります。

  • 主食:ごはん、パン、麺などの炭水化物
  • 主菜:肉、魚、卵、大豆製品などのたんぱく質
  • 副菜:野菜、海藻、きのこ類
  • 汁物:味噌汁やスープ
  • 果物や乳製品(適量)

これをベースに、不足しがちな鉄・カルシウム・ビタミンDなどの栄養素も意識して取り入れることができれば、理想的な身体づくりに近づけます。

運動のポイント|“量”と“質”の両方を見直そう

スポーツをしているからといって、必ずしも運動量が十分とは限りません。

本人が気づいていない運動量不足が原因の可能性もあります。

さらに大切なのは、動きの“質”をチェックすることです。

たとえば、

  • 体が重く感じる
  • 動きにキレがなくなる
  • スピードやジャンプ力が落ちる

といった変化が見られる場合は、今の運動量では体を十分に動かしきれていない可能性があります。

これは、運動量をもう少し増やす必要があるサインかもしれません。

運動と睡眠は“セット”で考える

スポーツをしている子どもたちは、すでに日常的に運動習慣があります。

ただし、「どのくらい動いているか」だけでなく、“どう動いているか”も大切です。

練習にしっかり取り組んでいても、動きが雑だったり、体を上手く使えていないと、消費エネルギーや筋力アップの効率は下がってしまいます。

フォームを意識した基礎練習や、全身を使ったフィジカルトレーニングを取り入れることで、パフォーマンスも体づくりも効果的に進みます。

睡眠時間は「質」と「工夫」がポイント

理想的な睡眠時間は10時間ですが、現実的にそれだけ確保するのは難しい場合もあります。

その場合は、8〜9時間の確保を目指しつつ、睡眠の質を上げる工夫を取り入れていきましょう。

  • 就寝前のスマホは控える(ブルーライトカット)
  • 寝る前に軽いストレッチでリラックス
  • 寝室を暗く・静かに整える
  • 就寝・起床時間をできるだけ一定にする

「寝る前30分をどう過ごすか」で、翌朝の回復具合が変わります。成長ホルモンがしっかり分泌される環境をつくりましょう。

体重管理の基本は「動きの質」と「食事のバランス」

体重を気にすること自体は悪いことではありません。

ですが、ただ「食べる量を減らす」ことだけが解決策ではないということを理解しましょう。

ポイントは、日々の動きの質と向き合うこと。

食べ過ぎているなら、その分を運動量でカバーできているか?

練習以外の時間でもしっかり体を動かせているか?

ダラダラ過ごす時間が増えていないか?

そして、食事は「何を、どのタイミングで、どのくらい食べているか」がとても大切です。

お米ばかりを大量に食べても、吸収される量には限界があります。

栄養はバランスが命。

たんぱく質、ビタミン、ミネラルを含めた「全体の構成」を見直していく必要があります。

まとめ|「痩せる」ではなく「整える」

今、君たちに必要なのは「痩せること」ではなく、「整えること」です。

・食事の質と量のバランス

・正しいフォームでの運動

・リカバリーできる睡眠環境

この基本を抑えたうえで、体が変わっていくプロセスを大事にしてください。

周りと比べるより、「昨日よりいい自分」を積み重ねることが、最終的にパフォーマンスにも自信にもつながります。