サッカーは試合中、選手が短いスプリントを繰り返し、急な方向転換や中距離の走行も行うスポーツです。

そのため、練習でも「実戦で求められる距離と頻度」を意識することが重要です。

実際の試合データを基に、効率的な走りのトレーニングを設計することが、選手のパフォーマンス向上に直結します。

実戦データから見るスプリント距離

プロのサッカー選手の試合では、平均で1試合あたり約11本のスプリント(速度 ≥ 24 km/h)が観測されます。

スプリント距離の分布を見ると、10.1~20 m が全体の約48%、20 m超が約45%を占めることが報告されています。

また、高強度走(スプリント)による累積距離は1試合でおおよそ200 m前後であり、ポジションや試合状況によって差があります。

このデータから、試合で最も多く発生するスプリントは10~20 m程度であることがわかります。

さらに20 mを超えるスプリントも一定数あり、カウンターやスペースへの突破時には重要です。

練習での距離設定の目安

実戦データを踏まえると、練習では次のように距離や目的を意識すると効果的です。

まず、短距離スプリントは10 mと20 mを目安に行います。

この距離は試合で最も多く発生する加速や反応、切り替え動作に直結し、ボール奪取やゴール前の一瞬の動きに対応できる身体を作るのに適しています。

次に、中距離スプリントとして30~50 mを設定します。

この距離は試合で20 mを超えるスプリントに対応し、カウンターやスペースへの突破、サイドのオーバーラップなどに備える目的があります。

距離耐性やスピード維持力を向上させることも狙いです。

1回のセッションでの累積スプリント距離は、実戦での高強度走の合計距離に合わせて200~400 mを目安にします。

スプリント間には30秒~2分の軽いジョグや歩きを挟むことで、試合の不規則な動きや疲労の蓄積に対応する能力を高められます。

練習メニューの具体例

短距離スプリントは10 mを4~6本、20 mを4本行い、加速や反応、切り返しの力を養います。

中距離スプリントは30~40 mを2~3本、50 mを1~2本行い、長めのスプリントや持久力、スピード維持力を鍛えます。

セッション全体のスプリント累積距離は合計で200~400 m程度になるように調整します。

スプリントの合間には、30秒から2分の軽いジョグや歩きを挟み、疲労回復や試合感覚の再現を意識します。

なぜこの距離設定が効果的か

  • 短距離スプリントで典型的な加速・切り返しに対応できる身体を作れる
  • 中距離スプリントで長めの攻撃やスペースへの突破に備えられる
  • 回復を挟みつつ繰り返すことで、90分の試合に必要なスピード・持久力・回復力をバランスよく鍛えられる

このように距離・頻度・回復を組み合わせることで、試合の動きに近い負荷を安全に再現できます。

注意点

  • ポジションや戦術、試合展開によって必要な距離や頻度は変化します。フォワードやウイングは短距離・中距離スプリントが多く、センターバックやミッドフィルダーはやや少なめです。
  • 練習でスプリントばかりに偏ると疲労やケガのリスクが高まるため、量・頻度・回復を管理することが重要です。
  • 練習環境や年代(学生 vs プロ)によって現実的な距離や本数は変わるため、柔軟に調整してください。

まとめ

サッカーの試合では、短距離スプリント(10~20 m)が最も多く、20 mを超えるスプリントも一定割合で発生します。

練習では、短距離・中距離のスプリントを組み合わせ、累積距離や回復を考慮することで、試合で必要なスピード、加速、回復力、持久力のバランスを効率的に鍛えられます。

根拠に基づいた距離設定と構成で練習を行うことが、選手の実戦力向上に直結します。