成長期の学生アスリートにとって、トレーニングの質を高めることは非常に重要です。
しかし、その前提として見落とされがちなのが「トレーニング時の栄養状態」です。
特に、空腹のままトレーニングを行うことは、多くのデメリットやリスクを伴います。
努力しているつもりでも、身体づくりやパフォーマンス向上につながらないケースも少なくありません。
空腹時、身体の中で何が起きているのか
体内に十分なエネルギーがない状態で運動を始めると、身体はまず血糖や肝臓に蓄えられたグリコーゲンを使おうとします。
しかし、それも不足している場合、筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとします。
これは生命維持としては自然な反応ですが、成長期のトレーニングにおいては大きな問題となります。
筋肉を「鍛える」どころか、「削りながら動いている」状態になるためです。
筋肉が増えにくく、身体が作られない理由
空腹状態でのトレーニングでは、筋肉の合成よりも分解が優位になります。
その結果、筋力が伸びにくく、体重や筋肉量の増加にもつながりません。
成長期は、身長や筋肉、骨格が発達する重要な時期です。
この時期にエネルギー不足の状態が続くと、トレーニングを重ねても身体が思うように変化せず、「頑張っているのに成果が出ない」状態に陥りやすくなります。
集中力と動作精度の低下が招くリスク
エネルギー不足は、筋肉だけでなく脳の働きにも影響します。
空腹時は集中力が低下し、判断が遅れたり、注意力が散漫になったりします。
その結果、動作の精度が落ち、フォームが乱れやすくなります。
フォームの乱れは関節や筋への余計な負担を生み、ケガのリスクを高めます。
特に成長期は関節や骨が未成熟なため、こうしたリスクを軽視してはいけません。
「痩せる」「軽くなる」とは別の問題
一部では「空腹で動くと引き締まる」「軽くなる」というイメージを持つ選手もいます。
しかし、成長期の学生にとって必要なのは、単に体重を落とすことではなく、競技に耐えられる身体を作ることです。
エネルギー不足の状態で体重が減ったとしても、その多くは筋肉量の減少によるものであり、パフォーマンス向上とは逆の結果になります。
成長期に必要なのは“エネルギーを入れてから動く”意識
成長期のトレーニング効果を高めるためには、事前に適切なエネルギーを補給することが基本です。
炭水化物を中心に、少量でもよいので身体に燃料を入れてから動くことで、筋肉は分解されにくくなり、トレーニングの質も高まります。
これは特別な食事ではなく、おにぎりやパン、バナナなど身近なもので十分です。
トレーニング効果と安全性を高めるために
成長期は、努力の方向性を間違えると成果が出にくい時期でもあります。
空腹トレーニングは、頑張っている感覚とは裏腹に、身体づくりや競技力向上の妨げになる可能性があります。
適切な栄養補給を行った上でトレーニングに取り組むことが、効果と安全性の両立につながります。
日々の練習を無駄にしないためにも、「食べてから動く」という基本を大切にしていきたいところです。
