テニスでは、サーブ、ストローク、ボレー、どの動作にも体全体の連動が欠かせません。

その中心にあるのが「背骨の動き」です。

ラケットを振る腕や、ボールを追う足の動きに意識がいきがちですが、実はそれらをつなぐのが背骨。

背骨がしなやかに動くことで、スイングの力がスムーズに伝わり、無理のないフォームをつくることができます。

今回は、テニスにおける「背骨の動きの重要性」と、プレー中に意識すべきポイントについてお伝えします。

背骨は「動きの軸」

背骨は首から腰まで24個の骨が積み重なってできています。

本来は「曲げる」「反る」「ひねる」という3つの方向に動く構造を持っています。

しかし、練習や試合で片側ばかりを使うテニスでは、どうしても体の動きが偏りやすくなります。

特にフォアハンドの回旋やサーブの動作を繰り返すことで、片側の動きは得意でも、反対方向への動きが苦手になる選手が多いのです。

背骨が硬くなったり、動きが偏ったりすると、スイングの軌道が安定せず、力の伝わり方にもムラが出ます。

つまり、背骨の動きはプレーの土台とも言えるのです。

曲げる・反る・ひねる、それぞれの役割

テニスの動きには、背骨の3方向の動きが常に関わっています。

曲げる(前に丸める)

リターンや低い打点でのショット時に重要な動きです。

背骨をしっかり曲げられることで、腰を落とした安定した姿勢を保ち、バランスを崩さずにスイングができます。

反る(後ろに伸ばす)

サーブやスマッシュの際に欠かせません。

反る動きがスムーズに出ないと、肩や腰に過度な負担がかかり、力強いスイングが難しくなります。

無理に反らせるのではなく、「背骨全体で伸びる」意識が大切です。

ひねる(回す)

テニスで最も特徴的なのがこの動きです。

フォアやバックのスイング、サーブ、リターンなど、すべてのショットで体をひねる力を使います。

このとき、背骨がしなやかに動くことで、下半身から生まれた力を腕へとスムーズに伝えられます。

背骨が硬くなると、ひねりが肩や腰の一部に集中し、スイングに無駄な力が入りやすくなります。

結果として、スピードやコントロールが安定しにくくなるのです。

背骨がしなやかだとプレーが変わる

背骨がスムーズに動くと、体のバランスが整い、スイング全体が自然になります。

テニスは一瞬の判断と動き出しが重要なスポーツ。

背骨の柔軟性があることで、次の動作への切り替えも速くなります。

たとえば、ストローク後に素早くリカバリー動作へ移る際、背骨のしなやかさがあると、重心移動がスムーズになり、無駄な力を使わずに動けます。

また、サーブでは背骨の反る動きとひねる動きをうまく連動させることで、力強く、しかもスムーズなフォームを作ることができます。

背骨を硬く使ってしまうと、腕だけのスイングになり、スピードもコントロールも安定しません。

つまり、背骨のしなやかさ=スイングのしなやかさなのです。

背骨を意識して整えるポイント

背骨の動きを改善するために、特別なトレーニングを行う必要はありません。

まずは「背骨を意識して動かす」ことが大切です。

ウォーミングアップやクールダウンの時間に、次のような動きを取り入れてみましょう。

  • 背中を丸めてから、ゆっくり起き上がる(曲げる・反るの感覚)
  • 立った状態で、肩と腰を反対方向に軽くひねる(ひねる動きの確認)
  • 深呼吸をしながら、背中全体が上下に伸びる感覚を感じる

これらの動きを通して、背骨を固めず「動かしながら支える」感覚をつかむことがポイントです。

動きに慣れてくると、プレー中でも自然と背骨の使い方が変わっていきます。

背骨の動きを意識すると得られるメリット

背骨を正しく動かせるようになると、次のような効果が期待できます。

  • スイングの軌道が安定し、無駄な力が抜ける
  • サーブやストロークの回転がスムーズに伝わる
  • 動作の切り替えが速くなり、反応が良くなる
  • 肩や腰への負担が軽減し、ケガの予防につながる

これらはすべて、背骨が「柔らかく」「安定して」動けることで得られる効果です。

力を入れることだけが上達ではなく、しなやかに動ける身体づくりがテニスの質を高めます。

まとめ

テニスにおける背骨の動きは、スイングやフットワーク、リカバリーなどあらゆる場面で重要な役割を果たします。

背骨を「支える」だけでなく「動かす」意識を持つことで、よりスムーズで効率的なプレーが可能になります。

筋力や技術を磨くことと同じくらい、背骨のしなやかさを保つことが大切です。

毎日の練習やアップの中で、ぜひ背骨の動きを意識してみてください。

それが、あなたのテニスを一段上のレベルへと引き上げるきっかけになるはずです。