健康志向の高まりやダイエット意識の向上で、「疲れていても運動はしたほうがいい」と考える人が増えています。
しかし、実は体が疲れているときに無理して運動をすることは、健康や体づくりの面で逆効果になることがあります。ここでは、専門的な視点からその理由を解説します。
回復が追いつかないと“効果が出にくい”
まず知っておきたいのは、疲れている=体が回復を必要としている状態だということ。
疲労が強いときにさらに運動を加えると、体が「回復」にエネルギーを使えなくなり、筋肉や内臓の働きが弱まりやすくなります。
これにより、運動の効果が下がったり、疲労が蓄積してしまうリスクがあります。
集中力や神経の働きも低下する
疲れているときは、神経系の反応や集中力も落ちているため、運動中のフォームが乱れやすくなります。
たとえ軽い運動でも、動作の質が落ちることで関節や筋肉に余計な負担がかかり、ケガにつながる可能性があります。
コルチゾールの役割とリスク
疲労やストレスを感じると、体は「コルチゾール」というホルモンを分泌します。
本来の役割は、炎症を抑えたり、血糖を安定させたり、ストレスに対処するためのエネルギー供給を助けることです。
しかし、コルチゾールが慢性的に高い状態が続くと、筋肉の分解を促進し、免疫力を下げ、体脂肪の増加にもつながる可能性があります。疲れているときの運動がこれをさらに悪化させる要因になるのです。
「休む=さぼり」ではない
運動に真面目に取り組んでいる人ほど、「休むことに罪悪感」を感じる傾向がありますが、休養も体づくりの一部です。
休むことで、内臓やホルモンの働きが整い、結果的に次回のトレーニングの効果を最大化できます。
筋トレと休養を組み合わせることが大事な理由はこちら
休養中でも“動き”は止めない
完全な寝たきりではなく、アクティブレスト(積極的休養)を意識するとより効果的です。
具体的には次のような活動がおすすめです。
- 軽めのストレッチや散歩
- ヨガや深呼吸などのリラクゼーション
- 温冷交代浴(自宅でも冷水シャワーと温浴の繰り返しでOK)
こうした活動は、血流を促進して疲労物質の除去を助け、体の回復を早めてくれます。
栄養と睡眠でさらに回復促進
休むときには「動かない」だけでなく、しっかり食べて、よく眠ることも重要です。
特に、たんぱく質やビタミン、ミネラルを意識したバランスの良い食事を摂ることで、回復がスムーズに進みます。
まとめ:無理して動くより、質を上げる準備を
疲れているときに運動するのは、体に“負債”を積み重ねてしまうことにもなりかねません。
無理をして動くよりも、「休んで整える」ことが、次の運動の質や体の変化を高めるための準備になります。
しっかり休むことは、健康にも、理想の体づくりにも、大切な選択肢です。