ストレスがかかると、体で起きること

テスト前、部活の大会、人間関係の悩みなど、学生生活には多くのストレスがつきものです。

そして、そのストレスに反応して体内で分泌されるホルモンが「コルチゾール」です。

コルチゾールは、元々は体を守るために必要なホルモンです。

たとえば、こんな働きがあります:

  • 血糖値を上げてエネルギーを確保
  • 血圧を上げて集中力を高める
  • 炎症や免疫反応を調整する

つまり、一時的なストレスに対して体をパワーアップさせるような役割を担っています。

でも、コルチゾールが出続けるとどうなる?

問題は、ストレスが長く続くこと。

その状態ではコルチゾールも慢性的に分泌され続けてしまい、次のような変化が起きます。

お腹まわりに脂肪がつきやすくなる

コルチゾールは内臓脂肪の蓄積を促す働きがあります。特に腹部の脂肪が増えやすくなります。

甘いものや高カロリーな食べ物を欲しやすくなる

コルチゾールが増えると、「エネルギー不足」と脳が錯覚し、お菓子・ファストフードなどを強く求めるようになります。

血糖コントロールがうまくいかなくなる

コルチゾールの影響でインスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性)、余分な糖が脂肪として蓄積されやすくなります。

ストレスが生活にも影響する

ホルモンの変化だけでなく、ストレスが続くとこんな影響も出てきます:

  • 運動する気がなくなる
  • 夜の寝つきが悪くなる、途中で起きる
  • 自律神経が乱れて代謝が低下する

これらは全て、脂肪をためやすい体の状態につながります。

太りやすさを防ぐ3つの対策

ストレスを完全になくすことは難しいですが、コルチゾールの影響を和らげる方法は科学的にも明らかになっています。

① 有酸素運動を週に合計150分

ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、コルチゾールを減少させ、気分も安定させる効果があります(※1)。

1回30分を週5回が目安です。時間が取れない場合でも、短時間を積み重ねることでもOKです。

こちらはあくまで目安ですので、しっかり遊んでスポーツを実施している学生さんであれば運動時間を細かく気にしなくても問題ございません。

② 睡眠は1日7〜8時間を目標に

睡眠不足はコルチゾールを増加させる要因のひとつ。研究では、毎晩6時間未満の睡眠を続けると脂肪が増えやすくなることが示されています(※2)。

特に夜10〜11時までに布団に入ると、睡眠の質も向上します。

③ 食事はタンパク質・ビタミン・ミネラルを意識

ストレスによって甘いものを食べたくなる時、肉・魚・卵などのタンパク質と、野菜・果物を組み合わせた食事をとることで、満足感が得られ、過食を防げます。

マグネシウムやビタミンCは、コルチゾールの調整に役立つことも報告されています(※3)。

まとめ:ストレスは、コントロールできる

「ストレスで太る」は気のせいではなく、体のホルモン反応によって本当に起きることです。

でも、正しく理解し、科学的に効果が証明された行動を習慣にすることで、体調も体型も整えていくことができます。

勉強や部活を頑張るには、健康な体が土台になります。

無理にがんばるのではなく、「ちょっと気をつけてみよう」くらいの意識で、自分の体と向き合っていきましょう。

【参考文献】

※1:Tsatsoulis A, Fountoulakis S. The protective role of exercise on stress system dysregulation and comorbidities. Annals of the New York Academy of Sciences, 2006.

※2:Spiegel K, Tasali E, et al. Short sleep duration is associated with reduced leptin, elevated ghrelin, and increased body mass index. PLoS Medicine, 2004.

※3:Selye H. Stress and the general adaptation syndrome. British Medical Journal, 1950.