スポーツを一生懸命頑張っている人ほど、「もっと練習したい」「休んでいる時間がもったいない」と感じることがあります。
しかし、やりすぎは逆効果。体が休む時間をもらえず、疲労が積み重なって起こる不調を「オーバートレーニング症候群」と呼びます。
この状態になると、意欲はあってもパフォーマンスが落ちたり、体調不良が続いたりします。頑張りすぎのサインを見逃さないことが大切です。
主な症状と見分け方
オーバートレーニング症候群になると、次のような変化が現れやすくなります。
- 練習しているのにタイムや力が出にくくなる
- 疲労感が抜けず、だるさが続く
- 食欲低下や睡眠障害(眠れない、朝起きられない)
- 気分の落ち込みやイライラ、集中力の低下
- 風邪をひきやすくなるなど免疫力の低下
具体的な事例
例えば、サッカーやラグビーの選手であれば、オーバートレーニングが進むと次のような問題が起こることがあります。
- サッカーでは、キックの力やパスの精度が落ちたり、試合中の走行距離やスプリント回数が減少する
- ラグビーでは、タックルの威力が落ちたり、接触プレーでの反応が鈍くなり、ケガのリスクが高まる
- 試合中に集中力が続かず、判断ミスやポジショニングの乱れが増える
- 疲労で体が重く感じられ、後半のスタミナ切れが起こりやすくなる
これらは単なる練習不足ではなく、疲労の蓄積による筋肉や神経の働きの低下が原因です。
なぜ「鍛える」と「回復」はセットなのか?
筋肉や体力は、練習中ではなく、練習後の回復期間に強くなります。
筋トレで筋肉を傷つけたあと、栄養を摂り、休んで回復することで筋肉は太く強くなる仕組みです。
つまり、質の高いトレーニングの効果を最大にするには、十分な休息と栄養が必要です。
「休むことは成長の一部」と理解し、サボりではないと捉えましょう。
自分に合ったトレーニング計画の作り方
オーバートレーニングを防ぐために、自分の体と生活に合った計画が大切です。
以下のポイントをチェックしながら調整しましょう。
- 睡眠は十分に取れているか?
- 食事は3食バランスよく摂れているか?
- 練習の強度や量にメリハリ(オンとオフ)があるか?
- 気分や体調に変化はないか?
無理をして周りと比べるより、自分の体と相談しながら進むことがパフォーマンス向上につながります。
オーバートレーニングを防ぎ、効率よく成長するために
疲労の「見える化」を行う
疲労感や睡眠の質、食欲、気分などを日々ノートやアプリで記録しましょう。
自分の体調の変化に早く気づき、調整しやすくなります。
心拍数を活用した体調管理
朝の安静時心拍数が普段より高い場合は疲労が溜まっているサイン。
無理せず軽めの運動や休養に切り替える判断材料になります。
クロストレーニングで負担分散
例えばランニング主体の練習なら、水泳や自転車など別の運動を取り入れて身体の特定部分にかかる負担を減らし、疲労回復を促進しましょう。
ストレスマネジメントも大切
勉強や人間関係のストレスも疲労回復を妨げます。リラックスできる時間を確保し、心身のバランスを保つ工夫をしましょう。
専門家に相談をためらわない
疲労感が長引いたり、パフォーマンス低下が続く場合はスポーツドクターやトレーナーに早めに相談することが重要です。
まとめ
頑張ることは素晴らしいですが、頑張りすぎは体の危険信号。
オーバートレーニング症候群は、パフォーマンス低下やケガのリスクを高めます。
正しい知識を持ち、適度な休息を取り入れて、心身ともに健康な状態でスポーツに取り組みましょう。