ストレッチや柔軟体操をするとき、「開脚180度できないとダメなのかな?」「あの子はすごく開くけど、自分は…」と不安になったことはありませんか?

SNSや動画で足が180度以上開く人を見ると、「もっと柔らかくしなきゃ!」と焦る気持ちになるかもしれません。

でも、結論から言うと、ほとんどのスポーツにおいて、開脚を180度開くことは必要ありません。

むしろ、必要以上の柔軟性が怪我のリスクにつながることもあるのです。

柔らかければ良いというわけではない

柔軟性は大切ですが、「柔らかすぎる」ことにも注意が必要です。筋肉や関節が必要以上に伸びてしまうと、関節を安定させる力(支持力・保持力)が弱くなり、捻挫や脱臼などのリスクが高まります。

特に股関節や膝、足首などは、スポーツ動作で大きな力が加わるため、過度な柔軟性によって関節が不安定になると、正しい動きができなくなったり、パフォーマンスが落ちたりすることがあります。

「柔らかい=正義」ではなく、「その競技に必要な柔軟性」を持っていることが大切なのです。

自分の競技に必要な柔軟性を考えよう

競技によって、必要な柔軟性や可動域は異なります。

  • 新体操やバレエ、フィギュアスケートなどは、大きな可動域が求められるため、開脚が180度以上必要な場面もあります。
  • 一方で、サッカー・野球・バスケットボール・陸上競技などでは、180度の開脚が必要な動作はほとんどありません。

こうした競技では、動作の中で必要な範囲の柔軟性(機能的柔軟性)があれば充分で、それ以上に無理に開脚を広げる必要はないのです。

柔らかすぎる人は「関節弛緩性」が高い可能性も

関節の柔らかさには個人差があります。なかには「生まれつき関節が柔らかい」人もいます。これは**関節弛緩性(かんせつしかんせい)**と呼ばれ、関節を支える靭帯や関節包が緩く、可動域が広い状態です。

関節弛緩性が高い人は、周囲から「柔らかくてすごいね!」と言われることもありますが、関節が不安定になりやすく、ケガのリスクが高いという側面もあります。

チェック方法の一例として:

  • ひじやひざが反り返る
  • 親指が手首にくっつく
  • 指を反らすと90度以上曲がる

などの動きができる場合、関節が過度に柔らかい可能性があります。こうした場合は、柔軟性を伸ばすよりも「筋力による安定性」が大切になります。

正しくストレッチするために大切なこと

柔軟性を高めるためのストレッチは大切ですが、以下のポイントを意識すると安全で効果的です。

  • 競技やポジションに合った柔軟性を目指す
  • 痛みや違和感があるストレッチは避ける
  • 筋力トレーニングとセットで行う(関節を守る)
  • 無理に180度を目指さない

特に成長期の学生は、骨や関節が発達途中のため、無理なストレッチで成長軟骨や腱を傷めることもあります。痛みを我慢して無理に開こうとするのは逆効果です。

まとめ:必要な柔軟性は「競技」と「自分」によって違う

  • 開脚180度が必要なスポーツは一部に限られる
  • 柔らかすぎると関節に負担がかかり、ケガのリスクも
  • 自分の競技やプレースタイルに合った柔軟性が大切
  • 無理せず、正しいストレッチと筋力のバランスを意識しよう

今のあなたに本当に必要なのは、180度開く柔軟性ではなく、安全に・効率よく・怪我なくプレーできる体の準備です。

周りと比べすぎず、自分に合った柔軟性を目指していきましょう。