私たちは「何もしていない」と感じるときでも、脳は常に働いています。
特にデフォルトモードネットワーク(DMN)という脳の回路は、記憶の整理や未来の計画、自己内省などを担い、安静時でも活発です。
脳は体重のわずか2%ですが、全身の約20%のエネルギーを消費しており、目に見えない活動にも大きなエネルギーを使っています。
だからこそ、座ってスマホを見たり、ただ考え事をしているだけでも「疲れた」と感じることがあります。
運動中の疲労は筋肉や神経に現れますが、安静時の疲れは脳の神経回路が長時間活動していることによるものです。
考え事や情報処理が続くと、神経伝達物質のバランスが微妙に崩れ、集中力や判断力の低下として疲労感が出てしまいます。
脳疲労をやわらげる4つの方法
では、日常でできる「脳の疲れを和らげる方法」を具体的に見ていきましょう。
1. 短時間の仮眠や目を閉じる休息
15〜30分程度の仮眠は、脳をリセットするのに効果的です。
横になれなくても、椅子に座って目を閉じるだけでも構いません。
脳波が安静状態に近いアルファ波に変化し、情報処理や判断に使う神経の負担を軽くできます。
通学・通勤の間に数分目を閉じるだけでもリフレッシュになります。
2. 呼吸法や軽いストレッチでリラックス
深呼吸や軽く体を伸ばすストレッチも、脳疲労の回復に役立ちます。
腹式呼吸を意識することで、副交感神経が優位になり、心拍数や血圧を落ち着かせるだけでなく、前頭前野の緊張もやわらぎます。
座ったままでも肩を回したり首を軽く伸ばしたりするだけで、脳はリラックス状態に入りやすくなります。
3. 情報を整理・制限する
SNSや通知、ニュースなど、日常には大量の情報があふれています。
脳は無意識にこれらの情報を判断・抑制し続けているため、知らないうちに疲労がたまります。
通知をオフにしたり、スマホを使う時間を制限したりするだけでも、脳の負担はかなり軽くなります。
4. 軽い運動で血流と神経を活性化
ウォーキングや軽いジョギング、簡単な体操などの運動は、脳への血流を増やすだけでなく、神経の働きを活性化します。
運動中に分泌され*BDNF(脳由来神経栄養因子)は、神経の成長や修復を促す効果があり、認知機能の回復やストレスの軽減にもつながります。
さらに、体を動かすことで気分もスッキリするため、疲れが「心地よい疲れ」に変わります。
日常生活での実践例
- 学校や仕事の合間に5分でも目を閉じる
- 昼休みに軽く肩や首を回す
- 通知をオフにしてSNSを使う時間を決める
- 帰宅後に10分程度のウォーキングや階段上り下り
こうした小さな工夫を組み合わせるだけでも、脳の疲労感は大きく軽減できます。
大切なのは、無理なく続けることです。
まとめ
- 脳は休んでいるようでも、常に情報処理をしているため疲れやすい
- 短時間の仮眠や呼吸法、情報整理、軽い運動で脳疲労を和らげられる
- 運動は体の健康だけでなく、脳の働きやストレス解消にも効果的
日常生活の中で意識的に取り入れることで、「頭がボーッとする」「集中できない」といった脳疲労を防ぎ、スッキリした気分で毎日を過ごせます。