ラグビーでは、走る、切り返す、ステップで相手をかわすといった動きが勝敗を左右します。
これらの動作には、股関節の内旋・外旋という回旋動作が深く関わっています。
例えば、タックルをかわすために片足で方向転換する瞬間や、サイドステップで相手の隙間を突く時、股関節の回旋がスムーズだと身体の重心移動がスムーズになり、力強い一歩が生まれます。
逆に股関節の回旋が硬いと、膝や腰で代償してしまい、ステップの切れが悪くなります。
怪我のリスクも増え、プレー全体の質が下がってしまいます。
可動性を意識する重要性
股関節の動きやすさは選手によって異なります。
成長期の学生は、筋力の発達に比べ柔軟性やコントロールが追いつかないことが多く、可動性の低さがプレーの制限につながります。
試合前や練習前に、「股関節がスムーズに回旋できるか」を確認するだけでも、動きの意識が大きく変わります。
柔らかく動かせる股関節は、ステップのスピードや切り返しの正確性、タックル回避力を高める土台になります。
股関節内旋・外旋エクササイズ
今回紹介するのは、座った姿勢で前脚と横脚をそれぞれ90度に曲げ、股関節をゆっくり回旋させるシンプルなエクササイズです。
体幹を安定させ、「股関節だけを意識して動かす」ことがポイントです。
エクササイズの実際の動作はこちらで確認できます。
動きの速さよりも、コントロールを重視してください。
反動を使わず、可動域の範囲で丁寧に行うことで、股関節まわりがスムーズに動く感覚を得られます。
ウォームアップや宅トレに活用
このエクササイズは、ウォームアップや自宅トレーニングに最適です。
試合や練習前に取り入れることで、股関節周囲の筋肉と神経系を準備し、走り出しや切り返しがスムーズになります。
例えば、サイドステップで相手をかわす場面や、スクラムから素早くボールに反応する時、股関節の可動性がプレーの質を決めます。
短時間でも取り組む価値があり、可動性を引き出すことで、プレーのスピードと安定性を両立できます。
実戦での応用とレベルアップ
ラグビーは立位で行うスポーツです。
そのため、トレーニングもSAIDの法則(課題に特異的に適応する)を意識し、最終的には立位での動きに発展させることが理想です。
今回の動作がスムーズにできるようになったら、以下のような実戦想定ドリルにステップアップしましょう。
- 片脚立ちで股関節を回旋させながら、方向チェンジするドリル
- サイドステップで相手ディフェンスをかわすステップ系ドリル
- タックル回避や接触プレーを意識した立位の股関節ドリル
これらを練習に組み込むことで、実戦で必要な股関節の機能を高め、瞬時の反応力や安定性を養えます。
まとめ
股関節の内旋・外旋は、ラグビー選手の走力やステップの切れ、タックル回避力の土台です。
今回紹介したエクササイズを習慣的に取り入れることで、パフォーマンス向上と怪我予防の両立が可能になります。
ウォームアップや自宅トレーニングに活用しつつ、徐々に立位での応用ドリルに移行することで、実戦で活かせるスピードと安定性を確実に身につけられます。