ラグビーを見ていると、同じチームの中でも選手の体格が大きく違うことに気づくと思います。
プロップやロックのように大きくて力強い選手もいれば、スクラムハーフやウイングのように比較的スリムで俊敏な選手もいます。
では、なぜラグビーではポジションごとに体重差があるのでしょうか?
そして、高校生以上になると体づくりで意識すべきことは何なのでしょうか?
ここでは、これから本格的に体づくりをしていく学生さんに「今後のイメージ」を持ってもらえるように解説していきます。
ラグビーは「役割分担」のスポーツ
ラグビーは15人が協力して戦うスポーツです。
その中でそれぞれのポジションには役割がはっきり分かれています。
- フォワード(FW):スクラムやラインアウトなどで相手と力比べをする。ボールを前に運ぶパワーが求められる。
- バックス(BK):広いスペースを走って相手をかわし、トライを狙う。スピードやステップワークが求められる。
このように役割が異なるため、自然と「どんな体格が有利か」が変わってくるのです。
体重が重い=パワーと安定感
特にフォワードの選手は、相手と直接ぶつかる場面が多くあります。
スクラムでは「押し合い」、モールやラックでは「体のぶつけ合い」、タックルでは「相手を止める力」が必要です。
体重が重いとその分、相手に押し負けにくくなり、安定感も増します。
例えばプロップやロックといったポジションでは、単純な筋力だけでなく体重そのものが武器になります。
軽さ=スピードと俊敏性
一方、バックスの選手は広いスペースを走ることが多いので、体が重すぎると素早い動きがしにくくなります。
特にスクラムハーフやウイングは、一瞬の加速や細かいステップが武器。
ここでは体重の軽さや、無駄のない引き締まった体が有利になります。
高校生から意識したい「体づくり」
中学生のうちは、無理に体重を増やしたり減らしたりする必要はありません。
成長期なので、自然な食事と運動で十分に体は大きくなっていきます。
しかし、高校生になると少しずつポジションに合わせた体づくりを考えていくことが大切になります。
- フォワードを目指すなら:食事をしっかり取り、体重と筋力をバランスよく増やす。プロップやロックは「大きさ」が強さに直結する。
- バックスを目指すなら:走りやすい体を意識。無駄な脂肪をつけすぎず、スピードを落とさないようにする。
つまり「ただ重ければいい」「ただ軽ければいい」ではなく、自分のポジションで必要なプレーを強化する体づくりが大切なのです。
体重だけでなく「動ける体」を意識
よく「体重を増やした方がいいですか?」という質問がありますが、実際には体重の数字だけにこだわる必要はありません。
例えば、同じ80kgでも、筋肉が多い選手と脂肪が多い選手ではまったく動きが違います。
ラグビーでは「重さ」だけでなく「動ける体」であることが重要です。
そのためには、筋トレと走り込みをうまく組み合わせることがポイントになります。
これから意識したい練習
成長期のトレーニングで大切なのは、いきなり高重量に挑戦しないことです。
骨や関節がまだ成長途中なので、無理にバーベルを担いだスクワットやベンチプレスを行う必要はありません。
まずは自重を使った運動でしっかり土台を作りましょう。
- 下半身:スクワット、ランジ、ジャンプスクワット
- 上半身:腕立て伏せ(膝つきからでもOK)、ディップス、懸垂
- 体幹:プランク、サイドプランク、バードドッグ
こうした基礎的な動きを取り入れ、段階的にレベルを上げることで正しいフォームや動きの感覚が自然と身についていきます。
一方で、成長スピードや体の成熟度には個人差があります。
体の使い方が安定してきた選手や、さらに強度を求めたい選手は、軽いダンベルを使ったブルガリアンスクワットやダンベルランジなど、片足で支えるトレーニングを取り入れてもよいでしょう。
大切なのは「みんな同じメニュー」ではなく、一人ひとりの状況に合わせたメニュー選択です。
まとめ
ラグビーにおけるポジションごとの体重差は、単なる体格の違いではなく「役割の違い」から生まれています。
フォワードは力と安定感、バックスはスピードと俊敏性。
そのため、必要な体の作り方も少しずつ変わってくるのです。
今の段階では無理に体重を増減させる必要はありません。
これから高校生になったら「自分のポジションに合った体づくり」を少しずつ意識していきましょう。
未来の自分を思い描きながら、日々の練習に取り組んでみてください。