学生サッカーでは、体格や筋力にまだ差が大きく、試合終盤にスプリント回数が落ちる選手が目立ちます。

前半は走れても、後半70分以降に脚が止まれば得点にも守備にも絡めません。そこで必要になるのが「間欠的持久力」です。

なぜスプリントが落ちるのか?

サッカーの試合中、選手は平均40〜60回のスプリントを行います。

多くは15〜30mの距離で、休息はわずか数十秒。学生世代でスプリントが落ちる原因は以下です。

  • 無酸素エネルギー(短距離用の燃料)がすぐ枯渇する
  • 有酸素能力が低く、疲労物質を処理しきれない
  • 筋力が未発達で、大臀筋やハムストリングの出力が後半に落ちる

つまり「速さ」だけを鍛えても不十分で、速さを繰り返せる体を育てる必要があります。

筋肉の使い分けと持久力

初速(0〜10m)

  • 大臀筋が主役、四頭筋が補助
  • 「押し出す力」が中心

加速維持(10〜20m)

  • 四頭筋とハムがバランス良く協力
  • 「走りのリズム」を安定させる

トップスピード(20〜30m)

  • ハムストリングが主役、大臀筋が補助
  • 「伸びのある走り」で差がつく

この筋活動を試合90分続けるには、単純な瞬発力ではなく間欠的持久力が不可欠です。

学生世代に有効なトレーニング

1. インターバル走(基本形)

  • 100mダッシュ → 30秒ジョグ × 10本
  • 初期段階に適し、体力ベースを作る

2. 反復スプリント(実戦型)

  • 20〜30mダッシュ → 20秒休息 × 8〜10本
  • 実際の試合に近い負荷。終盤でもスプリントできる力を養う

3. シャトルラン(方向転換型)

  • 20m往復走 × 5本 → 2分休憩 × 3セット
  • サッカー特有の切り返し能力を強化

4. ボールを使った持久スプリント

  • コーチが出す合図に合わせて、10〜30mダッシュを繰り返す
  • ボールを追いながら実施すると、集中力も持続

トレーニングを行う際の注意点

  • 強度管理:全力を維持できる範囲で本数を設定
  • 休息調整:20〜40秒が目安、長すぎると効果が薄れる
  • 頻度:週2回が適切。試合直前は疲労を残さないように避ける
  • 成長段階に応じた配慮:中学生は体の発育に合わせて徐々に負荷を上げる

まとめ

  • 学生世代では「速さそのもの」よりも「速さを繰り返す力」が差を生む
  • 初速は大臀筋、トップスピードはハムが主役だが、持久力がなければ終盤に働かない
  • インターバル走・反復スプリント・シャトルランを組み合わせて、90分間スプリントを維持できる体をつくることが大切
  • 体格差のある学生世代でも、間欠的持久力を鍛えることで「最後まで走り勝つ」ことが可能になる