短距離で起きる「2つの疲れ」
30〜100mの全力疾走では、主に次の2つの疲れが起こります。
- 足や体の疲れ(筋肉の疲労)
強い力を何度も出すことで足や腰に大きな負担がかかり、動きが重くなる。 - 頭や神経の疲れ(神経的な疲労)
「速く動け」という指令を何度も出すうちに、動きが鈍くなったり、フォームが崩れたりする。
短距離はただ走り込めば良いのではなく、この2つの疲れをいかに抑えて「毎回速い走りを再現できるか」が大事です。
疲れを最小限にする練習の工夫
① 全力は短く切る
100%の力で走るときは 30〜60mまで にするのがおすすめ。
長すぎる距離を全力で走ると、スピードが落ちて「遅いフォーム」が身についてしまいます。
② 休憩をしっかり取る
全力疾走の後は 2〜5分の休憩 を確保しましょう。
「息が上がったまま次を走る」と疲れが積み重なり、質の高い走りができません。
③ 本数は少なくてもいい
学生なら 1回の練習で5〜8本程度 が目安。
大切なのは「全部を全力に近い状態で走り切ること」で、数を増やすより質を優先します。
④ 徐々にスピードを上げる
ウォーミングアップ後は、いきなり全力で走らずに
- 80%の力
- 90%の力
- 100%の力
のように段階的にスピードを上げると体への負担が減ります。
効果的な練習メニュー
足の疲れを抑える
- 加速走(30〜40m):最初の伸びに集中して走る。
- 軽い坂ダッシュ:自然に力強いフォームが身につきやすい。
頭や神経の疲れを抑える
- フライング走(助走つきスプリント):トップスピードを体に覚えさせる。
- リレー形式の短距離走:部分的に全力を出すので集中しやすい。
回復を工夫する
- 走った後は軽いジョグやストレッチで体をほぐす。
- 1週間の中で「強い練習」と「軽い練習」を分けて、疲れを溜め込みすぎないようにする。
まとめ
30〜100mの練習は、「どれだけ全力を効率よく積み重ねられるか」が大切です。
- 全力は短く切る
- 休憩をしっかり取る
- 本数よりも質を重視する
この3つを意識すれば、足の疲れも頭の疲れも最小限に抑えられます。
結果として「スタートからゴールまで速さを落とさない走り」を身につけることができます。