成長期の学生アスリートは、筋肉や骨だけでなく、神経系や前庭系、小脳などの運動神経回路も発達の途上にあります。
この時期に適切なトレーニングを行うことは、ケガの予防やパフォーマンス向上に直結します。
単に筋肉を鍛えるだけでなく、バランスや協調性、姿勢の安定性を同時に養うことが重要です。
1. マシントレーニング:基本的な筋力を養う
マシンは、フォームを安定させながら特定の筋肉を意識しやすい点がメリットですが、強度が高すぎると骨や関節に負担がかかるため注意が必要です。
成長期の学生がマシンを使う場合は、基本的なメニューを抑え、軽〜中負荷で正しいフォームを習慣化することが大切です。
基本メニュー例
- レッグプレス:下半身全体を鍛え、ジャンプやランニングのパワー向上に貢献
- ラットプルダウン:背中の筋肉を強化し、肩や腕の動きを安定させる
- チェストプレス:胸や肩を強化し、押す・投げる動作の基盤を作る
ポイントは「回数・セット数を少なめに、負荷は軽くしてフォームを丁寧に行う」ことです。
2. 自重エクササイズ:バランスと協調性を養う
自重トレーニングは、筋肉だけでなく神経系の発達にも効果的です。
成長期は筋力と神経系の発達が同時に進むため、バランスや協調性を意識した運動が特に重要です。
おすすめメニュー
① 片足スクワット(前後方向のバランス+下半身強化)
- 方法:片足で立ち、もう片方の足を前に軽く浮かせ、腰をゆっくり下ろして戻す
- 効果:太もも・お尻の筋力とバランス感覚を同時に養える
② 片足後ろ斜めステップ(斜め方向のバランス強化)
- 方法:片足で立ち、反対の足を斜め後ろに下げて膝を曲げる
- 効果:内もも・お尻・体幹の協調力を高め、動作の安定性を向上
※片足スクワットは前後方向、斜め後ろステップは斜め方向の負荷がかかるイメージで使い分けると理解しやすくなります。
③ スケアクロウ(前庭系・体幹安定)
- 方法:片足で立ち、腕を横に広げ、頭と体を左右に傾けて戻す
- 効果:前庭系を刺激し、姿勢やバランスの安定性を強化
3. 前庭系・小脳を刺激するトレーニング
成長期は、骨や筋肉の発達だけでなく、神経系も未成熟です。
前庭系や小脳を刺激することで、運動動作の正確性や反応速度が向上します。
例:片足バランス+ヘッドターン
- 片足で立ち、頭を左右にゆっくり回す
- 前庭系を刺激し、動作の安定性を高める
例:ヒール・トゥ・ウォーク
- かかとからつま先へ順に足を出しながら歩く
- 前庭系・視覚系・体幹を同時に刺激し、協調性や敏捷性を養う
4. トレーニングの組み合わせと実践方法
成長期の学生向けには、以下の組み合わせがおすすめです。
- ウォームアップ:軽いジョギング・ストレッチ(5分)
- マシンでの基本筋力トレーニング:レッグプレス、ラットプルダウン、チェストプレス(各3セット×10回程度、軽〜中負荷)
- 自重・神経系トレーニング:片足スクワット、片足後ろ斜めステップ、スケアクロウ、片足バランス+ヘッドターン(各2セット×30秒〜1分)
- クールダウン:ストレッチ(5分)
ポイントは フォームを丁寧に行い、負荷は体の成長に合わせること。
無理なく行うことで、ケガ予防と神経系発達の両方に効果があります。
まとめ
成長期の学生アスリートは、筋肉・骨・神経系が同時に発達する大切な時期です。
- マシンは基本メニューを抑え、負荷は軽めでフォーム重視
- 自重トレーニングで前後・斜め方向のバランスと下半身安定を養う
- スケアクロウや片足バランスで前庭系・小脳を刺激し、動作の安定性を向上
これにより、ケガのリスクを減らし、将来のパフォーマンス向上につながる体を作ることができます。