テニスのフォアハンド・バックハンドは、打球時の回転量と速度が勝敗を左右します。

打球の威力やコントロールは腕の力だけでなく、胸椎・肩関節・股関節の可動域に大きく依存します。

これらの関節の可動域が広いほど、体幹のひねりが大きくなり、腕やラケットに伝わる力が増大します。

可動域と打球パフォーマンスの関係

1. 胸椎(背骨上部)の可動域

  • 役割:体幹のひねりを作り、上体の回転力を打球に伝える。
  • 効果:胸椎の回旋が不足すると腕の振りだけで打球する形になり、打球速度や回転量が低下します。可動域が広いと、腰と肩の捻転差(コイル)の力を効率よくラケットに伝えられます。

2. 肩関節の可動域

  • 役割:ラケットのスイング軌道を自由に作り、打球スピードやトップスピンを強化。
  • 効果:肩の柔軟性が低いと、スイングが制限され、打球の威力やスピン量が落ちます。肩の可動域を確保することで、腕・手首・ラケットへの力の伝達がスムーズになります。

3. 股関節の可動域

  • 役割:下半身の安定性と回旋力を生み、上体の捻りを支える土台となる。
  • 効果:股関節の柔軟性が不足すると、腰の捻りが制限され、上体の回転力が打球に伝わりにくくなります。可動域を広げることで、全身の連動性を高め、打球速度や回転量を向上させます。

可動域を高めるためのトレーニング・ストレッチ

1. 胸椎回旋の可動域

  1. キャット・カウ+胸椎回旋ドリル
    • 四つん這いから背骨を丸め・反らせ、片腕を天井に向けて回旋
    • 胸椎の柔軟性と回旋力を向上
  2. スパインツイスト(座位)
    • 座った状態で上体を左右に捻る
    • フォア・バック両方の回転量を増やす
  3. Foam Roller 胸椎伸展
    • 背中にローラーを置き、胸椎を伸展・回旋
    • スイング時の上体の可動域を広げる

2. 肩関節の可動域

  1. バンド・ショルダーローテーション
    • 肩外旋・内旋をバンドで補助
    • ラケットスイングで必要な肩の可動域を確保
  2. ペクトラルストレッチ(胸前伸展)
    • 壁やドア枠を使い、肩前方の筋肉を伸ばす
    • 腕を大きく振れるようにする
  3. 肩甲骨スライド(スライドアップ)
    • 肩甲骨の動きを滑らかにし、腕の可動域とスイング効率を向上

3. 股関節の可動域

  1. ヒップフレクサーストレッチ
    • 腰を落として前脚の股関節を伸ばす
    • 上体のひねりと下半身の連動性を改善
  2. 90/90ヒップストレッチ
    • 片脚前・片脚後ろで座り、股関節を内旋・外旋
    • 回旋力を強化し、腰のひねりを支える
  3. ワイドスクワット+ツイスト
    • 下半身を開き、腰をひねりながら体幹回旋
    • 股関節・体幹・肩の連動性を養う

実践ポイント

  1. 打球前の動的ストレッチで可動域を最大化
    • フォア・バックのスイング前に胸椎・肩・股関節を動かして準備
  2. フォームと可動域を連動させる
    • 可動域を広げても、正しいスイングフォームで使えなければ意味がない
  3. 全身の連動性を意識する
    • 胸椎・肩・股関節の動きを連動させることで、打球速度と回転量を最大化

まとめ

学生テニスにおけるフォア・バックハンドの威力は、腕の力だけでなく、胸椎・肩関節・股関節の可動域に大きく依存します。

可動域を広げることで、体幹のひねりを最大化でき、腕・ラケットに力を効率よく伝えられるため、打球速度や回転量を向上させることが可能です。

胸椎・肩・股関節の可動域を意識したストレッチやトレーニングを定期的に行い、スイングフォームと連動させることで、学生テニスのパフォーマンスを飛躍的に高めることができます。