学生テニスの特徴と体力的課題
学生テニスでは、技術レベルや打球スピードに個人差があるため、プロのように1~2打でポイントが決まることは少なく、ラリーが自然と長くなる傾向があります。
その結果、1ポイントごとに数十回のストロークを打ち続ける場面も珍しくなく、試合全体で見ると非常に大きな持久力が求められます。
特に重要となるのは、下肢持久力(足の粘り強さ) と 体幹持久力(姿勢の安定を保つ力) です。
これらが不足すると、後半にかけてフットワークが乱れ、スイングの安定性を失い、凡ミスが増える原因になります。
なぜ下肢持久力が必要か?
テニスは「止まらず動き続けるスポーツ」と言われます。
ストロークラリー中、選手は細かいステップを繰り返し、左右へのダッシュとブレーキを絶え間なく行います。この動きで特に酷使されるのが下肢です。
- 大腿四頭筋(太ももの前):前後左右への動き出しとブレーキを支える。
- ハムストリングス(太ももの裏):減速動作と股関節の安定に寄与。
- 大臀筋(お尻の筋肉):方向転換時に重心を安定させ、再加速を可能にする。
- 下腿三頭筋(ふくらはぎ):細かいステップでの推進力を生み出す。
これらの筋肉が長時間にわたって機能し続けることで、試合終盤でもキレのあるフットワークを維持できます。
体幹持久力の役割
長いラリーでは、単に「走り続けられる」だけでなく、「打ち続けてもフォームが崩れない」ことが求められます。ここで重要なのが体幹持久力です。
- 腹直筋・腹斜筋:回旋動作の安定。フォア・バック両ストロークでスイングを支える。
- 脊柱起立筋:上体が前傾した状態を保ち、疲労による姿勢の崩れを防ぐ。
- 腹横筋(インナーマッスル):腹圧を高め、安定した軸を形成。
体幹が弱いと、ラリー後半で上半身がブレやすくなり、スイング精度が低下します。
逆に体幹が安定していれば、疲労が溜まっても「いつも通りのフォーム」で打ち続けることができます。
効果的なトレーニング方法
下肢持久力を養う
- サーキットラン(短距離反復走):コートを想定した方向転換を繰り返す。
- ジャンプスクワット:下半身の瞬発力と持久力を同時に強化。
- ラダートレーニング:フットワークの速さと持久力を兼ね備える。
体幹持久力を鍛える
- プランク(基本・サイド・ダイナミック):姿勢保持力を高める。
- メディシンボールツイスト:回旋動作の持久力を向上。
- バランスボールトレーニング:不安定な環境での安定性強化。
実戦へのつなげ方
トレーニングだけでなく、実際の練習においても「長いラリーを想定した持久的負荷」をかけることが重要です。
- ラリー本数を指定した練習(例:20往復続けるまで終わらない)
- タイム制のラリー練習(例:3分間ラリーを続ける)
- ポイントゲームでの走り込み意識
これらを定期的に取り入れることで、試合本番で長時間ラリーが続いても、最後まで安定したプレーが可能になります。
まとめ
学生テニスではラリーが長くなることが多く、下肢と体幹の持久力が試合結果を大きく左右します。
下肢持久力があれば最後まで走り続けられ、体幹持久力があればフォームを崩さず安定したショットを打ち続けられます。
基礎的な持久力トレーニングと競技特有のラリードリルを組み合わせることで、後半でも質の高いプレーを維持できる体力を養うことができます。