バレーボールではジャンプや着地の動作が頻繁に行われます。

特にスパイクやブロックのジャンプ動作は、膝や足首への負荷が大きく、パフォーマンスや怪我のリスクに直結します。

このとき、足関節の背屈可動域(足首を曲げてつま先を上に向ける動きの範囲) は、膝への負担やジャンプ動作の効率に大きく影響します。

背屈可動域が狭いと、着地時に膝前方へのストレスが増加する可能性があります。ここでは、その理由と改善方法を解説します。

1. 足関節背屈可動域とは

足関節背屈とは、立った状態でつま先を持ち上げる動作です。

バレーボールでは、ジャンプ前のしゃがみ込み(スクワット動作)や着地時に自然と使われます。

十分な背屈可動域があると、ジャンプ前の屈曲や着地時の衝撃吸収がスムーズになり、膝や股関節への負担を減らすことができます。

2. 背屈可動域が狭いと膝にかかるストレスが増える理由

(1) 着地時の衝撃吸収不足

ジャンプ着地では、足首・膝・股関節が連動して衝撃を吸収します。背屈可動域が狭いと、足首での衝撃吸収が制限され、膝に負荷が集中します。

(2) 膝前方ストレスの増加

足首の動きが制限されると、膝は前方への動きを補償的に強めてしまいます。これにより、前十字靭帯(ACL)や膝関節前方へのストレスが増加し、怪我のリスクが高まります。

(3) 運動連鎖の乱れ

背屈制限があると、しゃがみ込みの深さが不十分になり、ジャンプ力も低下します。さらに着地時に体幹や股関節で代償するため、膝や腰への負担が増えます。

3. 足関節背屈可動域を改善するメリット

  • ジャンプ前のしゃがみ込みがスムーズになり、ジャンプ力向上につながる
  • 着地時の衝撃吸収が効率的になり、膝へのストレスが軽減される
  • ACL損傷や膝関節トラブルのリスクを低減できる
  • 足首・膝・股関節の連動が改善され、運動効率が向上する

4. 実践に活かせる改善方法

(1) ストレッチ・可動域改善

  • カーフストレッチ:壁に手をつき、片足を後ろに引いてかかとを床につける。ふくらはぎの柔軟性向上で背屈可動域改善をサポート
  • 足指エクササイズ:タオルギャザーやグーパー運動で足指や足底筋を動かし、足部の安定性を高めて背屈可動域の改善を支援

(2) モビリティ強化

  • ヒールレイズスクワット:かかとを床につけたまましゃがみ込み動作を行い、足首周囲の筋肉と関節を連動させて背屈可動域を使いやすくする
  • バンド抵抗運動:ゴムバンドで足首背屈方向に抵抗をかけ、動作中に足首をコントロールできる筋力を強化

(3) 運動前の準備

  • 足首回し:可動域を直接広げる効果は限定的ですが、ウォームアップとして血流を促進し、関節・筋肉を動かしやすくする
  • つま先立ち・かかと下ろし動作:ジャンプや着地の準備運動として行うことで、筋・腱の連動性を高める

(4) フォームチェック

  • ジャンプや着地時のしゃがみ込み・膝位置を動画や鏡で確認
  • 足首が硬い場合は、しゃがみ込み深さや膝の角度を調整して安全な範囲で練習

5. まとめ

  • 足関節背屈可動域は、ジャンプや着地の動作効率と膝への負荷に直結する重要な要素
  • 背屈制限があると膝前方ストレスが増え、ACL損傷などのリスクが高まる
  • 改善には、カーフストレッチや足指エクササイズ、ヒールレイズスクワットなど、筋肉や足部を使って可動域を生かせる運動 が有効
  • 足首回しは準備運動として活用し、可動域改善手段として過信しない
  • 成長期の学生は、日々の練習前後に可動域チェックや足首ケアを取り入れることが成長と怪我予防の鍵