ゴルフでは、クラブの軌道とフェース角度がボールの飛び方を決定します。
多くのアマチュアが悩む「ダウンスイングでアウトサイドインになり、スライスが出る」という現象は、クラブが体の外側から内側に降りる軌道のことです。
理想はインサイドアウト(体の内側から外側へ降ろす軌道)で、アウトサイドインになるとフェースが開き、ボールが右に曲がる「スライス」が発生しやすくなります。
アウトサイドインの原因
アウトサイドインは、以下の要因で起こります。
- 体幹・腰・股関節の回旋不足
腰や体幹が十分に回転せず、腕や手だけでクラブを振る形になりやすい。 - 下半身の安定性不足
踏み込み脚や股関節が安定していないと、地面からの力が上半身に伝わらず、クラブが外から降りる軌道になりやすい。 - 腕や肩の過剰な操作
下半身・体幹からの力が使えないと、腕や肩でクラブを振ろうとするため、アウトサイドイン軌道が強まる。 - 動作制御の不足
力を効率的に伝えるタイミングや連動が不十分だと、インパクトでフェースが開きやすくなる。
専門的アプローチによる改善
改善には、単なる筋力強化ではなく、力の発揮効率と動作の質を高めるトレーニングが有効です。
ポイントは、下半身・体幹・肩の連動性とクラブ軌道の最適化です。
1. 下半身と体幹の連動性を高めるトレーニング
- ケーブル・バンドによる回旋抵抗ドリル
- ケーブルやバンドを体幹に巻き、回旋しながらクラブの軌道を意識
- 下半身を固定し、腰・体幹・肩が順に回る感覚を養う
- 効果:下半身から腕に力を伝えるタイミングが改善され、アウトサイドインを防止
- 片脚スクワット+回旋(バランスボード上)
- 踏み込み脚で体重を支えながら、上半身をクラブ方向に回旋
- 効果:股関節・膝の安定性と体幹の回旋制御を同時に強化
2. 腰・体幹・肩の連動性を意識したドリル
- メディシンボール・トルソーツイスト投げ
- 軽量ボールを持ち、下半身で体重移動しながら体幹を回旋して横方向に投げる
- 効果:キック・スイング動作に近い力の伝達感覚を養い、腕だけで振らないスイングを習得
- ミラー付きハーフスイングドリル
- クラブ軌道を確認し、インサイドから降ろす動作を反復
- 効果:腕や肩の過剰操作を抑え、下半身→体幹→腕の連動を意識
3. 柔軟性と動作可動域の向上
- 股関節・胸椎・肩の回旋ストレッチ
- 仰向けで膝を倒す股関節ストレッチ
- 胸椎回旋ストレッチ(膝を固定して上半身を左右に回す)
- 肩関節の外旋・内旋ストレッチ
- 効果:クラブ軌道の自由度を高め、スイング中の力伝達をスムーズに
力の発揮と動作の質のポイント
アウトサイドインを改善するには、単に筋肉を強くするだけでなく、力をどの順番で伝えるか、どのタイミングで回旋するかを意識することが重要です。
- 下半身→体幹→肩→腕の順に力を伝える
- 踏み込み足で安定した土台を作る
- クラブの振り出しは体幹回旋のタイミングに同期させる
- 腕や手の操作は最小限にして、クラブ軌道を自然に内側から降ろす
この順序を繰り返し練習することで、スライスを減らしつつ飛距離も向上します。
まとめ
アウトサイドインによるスライスは、腕や手の使いすぎだけでなく、下半身・体幹・肩の連動不足と動作制御の未熟さによって起こります。
改善には、
- 下半身・体幹の安定性と連動性を高める専門的トレーニング
- 体幹・肩の連動を意識したスイングドリル
- 股関節・胸椎・肩の柔軟性向上
- 力の発揮順序とタイミングを意識した動作改善
の四点をバランスよく取り入れることが重要です。
具体的には、ケーブル・バンド回旋ドリル、片脚スクワット+回旋、メディシンボール投げ、ミラー付きハーフスイング、股関節・胸椎・肩の回旋ストレッチなどを組み合わせることで、効率的なクラブ軌道と力の伝達を習得し、スライスの改善と飛距離向上が期待できます。