ラグビーは「長く走れる力」だけでなく、短距離スプリントを繰り返す能力や、コンタクト後に素早く動き直す力も求められる競技です。

大学・プロレベルのデータを参考にすると、1試合(80分)あたりの走行距離やスプリント回数にはポジションごとの特徴があります。

走行データの目安(1試合80分)

総走行距離

  • フォワード(FW):約 5〜6 km
  • バックス(BK):約 6〜7.5 km
    → BKは展開の広さから総距離が長くなる傾向があります。

スプリント回数(時速20 km/h以上を目安)

  • FW:10〜30回程度
  • BK:20〜40回程度
  • ポジション特性:
    • ウィングやFB:スプリント40回前後に達することも
    • SHやSO:総走行距離は多いが、スプリントは比較的少なめ

高強度走行(時速14〜20 km/h程度)

  • FW:200〜400 m
  • BK:400〜800 m

実例データ(GPS研究・国際試合)

  • 国際試合のエリート選手(南ア研究, 2016)
    • BK:総走行距離 6.8 km、スプリント回数 35回
    • FW:総走行距離 5.5 km、スプリント回数 18回
  • スーパーラグビー(GPS分析, 2019)
    • ウィング/FB:総走行距離 7 km前後、スプリント 40回弱
    • フロントロー(PR/HO):総走行距離 5 km弱、スプリント 10〜15回程度

トレーニングとの関係

大学・プロ選手のデータからわかることは、試合中の動きには以下の要素が複合的に求められることです。

  1. 基礎持久力(LT値)
    • 長時間中〜低強度走を維持する力
    • 総走行距離の大部分(5〜7 km)を支える
    • 例:ややきつめペースで1000〜2000 mを連続走
  2. 高強度・反復スプリント(HIIT・RSA)
    • スプリント(20〜40回、合計400〜800 m)を繰り返す能力
    • 例:20〜40 mダッシュを20〜30秒休息で6〜10本
  3. 試合特異的ドリル
    • コンテクト直後のスプリントや小人数ゲームで実戦動作を再現
    • 心拍変動や動作パターンを試合に近づける

まとめ(ポジション別・超専門的簡潔版)

  • FW(フォワード)
    • 総走行距離:5〜6 km
    • スプリント回数:10〜30回
    • 高強度走:200〜400 m
    • 特徴:コンタクトやラックが多く、スプリント回数は比較的少ない
  • BK(バックス)
    • 総走行距離:6〜7.5 km
    • スプリント回数:20〜40回
    • 高強度走:400〜800 m
    • 特徴:展開が広いため、総距離もスプリントも多い。ウィング・FBは最も多く走り、SHやSOはスプリントは少なめ
  • 参考データ
    • 国際エリート選手:BK 6.8 km/35回、FW 5.5 km/18回
    • スーパーラグビー:ウィング/FB 7 km/40回弱、フロントロー 5 km/10〜15回

実践ポイント

  • これらはあくまで目安。個人差や発育段階により負荷や距離は調整が必要です。
  • トレーニングは「基礎持久力+高強度走+反復スプリント+実戦ドリル」の4本柱で組み合わせると効果的です。
  • 中学・高校年代でも、大学・プロ選手のデータを意識することで、目標が明確になり、練習の質が向上します。