ストレスと体重の意外な関係
「最近、甘いものがやめられない」
「運動しているのに体脂肪が減らない」
そんな経験、ありませんか?
その原因、もしかすると「コルチゾール」というホルモンの影響かもしれません。
コルチゾールは、ストレスを感じた時に体が分泌するホルモン。
もともとは私たちの体を守るために必要なものですが、分泌が長引くことで体にさまざまな悪影響をもたらします。
コルチゾールとはどんなホルモン?
コルチゾールには次のような役割があります:
- 血糖値を上げてエネルギーを確保する
- 免疫の働きを調整する
- 炎症を抑える
一時的にコルチゾールが出る分には問題ありません。
しかし、慢性的なストレス状態が続くと、分泌が過剰になり、心と体に負担をかけるようになります。
コルチゾールが太りやすくなる3つの理由
① 内臓脂肪がつきやすくなる
コルチゾールは、特にお腹まわりに脂肪をためやすくする特徴があります。
これは内臓を守るためとも言われますが、過剰になると代謝にも悪影響を及ぼします。
② 食欲が増え、甘いものを欲しやすくなる
ストレスを感じると「無性にお菓子やパンが食べたくなる」…これは脳が「エネルギー不足」と勘違いするため。
コルチゾールが食欲を刺激し、高カロリー・高脂質なものを選びやすくなるのです。
③ 血糖コントロールが乱れ、脂肪がつきやすくなる
コルチゾールはインスリンの効き(=血糖コントロール)を悪化させる働きもあります。
その結果、血糖値の上下が激しくなり、余分な糖が脂肪として蓄積しやすくなってしまいます。
ストレスが生活習慣にも影響する
コルチゾールの影響はホルモンバランスだけにとどまりません。
- 睡眠の質が下がる(寝つけない、途中で目が覚める)
- 運動のやる気が出ない
- イライラや集中力の低下
- 自律神経が乱れて代謝が落ちる
これらが重なると、「太りやすく、痩せにくい」状態に拍車がかかります。
ストレス太りを防ぐ3つの対策
「忙しくてストレスを避けられない…」
そんな方でも、日常の中で少しずつできる対策があります。
1. 軽い運動を取り入れる(ウォーキングでOK)
研究では、**週150分程度の有酸素運動(例:30分×週5回)**がコルチゾールを安定させ、気分も整える効果があるとされています(※1)。
時間が取れない日は、「通勤で1駅分歩く」「昼休みに階段を使う」なども十分です。
2. 睡眠の質を上げる(7時間を目標に)
睡眠不足はコルチゾールを高める最大の要因のひとつ。
可能なら就寝は23時前後を目安にし、スマホは寝る30分前までにオフ。深く眠ることでホルモンバランスが整います(※2)。
3. 栄養の偏りを防ぐ
特に意識したいのがタンパク質・ビタミンC・マグネシウム。
これらはストレス対策やホルモン調整に関与します。
たとえば:
- 鶏むね肉、卵、大豆製品(タンパク質)
- ブロッコリー、パプリカ、キウイ(ビタミンC)
- 海藻類、ナッツ、ほうれん草(マグネシウム)
甘いものをやめるのではなく、「満足感のあるバランスの良い食事をとる」ことが習慣化のコツです。
まとめ:ストレス対策は、ダイエット対策でもある
ストレスによって太りやすくなるのは、体の自然な反応です。
だからこそ、「気合や根性」で乗り切ろうとするのではなく、正しく仕組みを理解し、生活習慣を整えることが大切。
まずはできることから。
・夜、少し早く寝る
・通勤や買い物で歩く
・朝ごはんにタンパク質を加える
そんな小さな一歩が、ストレスに負けない体をつくり、結果的にダイエットにもつながります。
【参考文献】
※1:Tsatsoulis A, Fountoulakis S. The protective role of exercise on stress system dysregulation. Ann NY Acad Sci, 2006.
※2:Spiegel K, et al. Short sleep duration is associated with increased BMI. PLoS Med, 2004.
※3:Wang JL, et al. The effects of dietary magnesium on metabolic syndrome. Nutrients, 2016.