成長期のサッカー選手は、1日に複数試合をこなすこともあります。しかし、後半になると動きが鈍くなる選手も少なくありません。
これは単なる「根性不足」ではなく、成長期特有の身体の変化やエネルギー不足、トレーニング・回復の偏りが原因です。
ここでは、体力不足の理由と具体的な対策を総合的に解説します。
1. 体力が追いつかない主な理由
① 成長によるエネルギー需要の増大
成長期は骨・筋肉・内臓が急速に発達するため、基礎代謝が高く、練習や試合での消費カロリーも増大します。
エネルギー補給が不足すると、試合後半での動きの鈍化や疲労感につながります。
② 筋力・心肺機能の未発達
- 筋力不足 → キックやダッシュの効率低下
- 心肺機能不足 → 長時間のランニングで酸素供給が追いつかず疲労蓄積
③ 神経系・運動協調の未成熟
成長期は神経系の発達も進行中です。動作がスムーズでない場合、無駄な動きが増え、エネルギー消費が大きくなることがあります。
④ 栄養・水分不足
成長期は特にエネルギー、タンパク質、ビタミン、ミネラルが不足しがちです。
- 炭水化物不足 → 試合中の瞬発力低下
- タンパク質不足 → 筋肉修復の遅れ
- 水分不足 → 体温調節が不十分になり疲労蓄積
2. 食事と補給のポイント
① 炭水化物を中心に、タンパク質も組み合わせる
- 炭水化物 → グリコーゲン補充、持久力維持
- タンパク質 → 筋肉修復、成長サポート
- 専門的背景:運動後30〜60分以内に炭水化物とタンパク質を同時摂取すると筋タンパク合成が最大化され、疲労回復が促進されます。
② 水分・電解質補給
- 発汗により水分・ナトリウム・カリウムが失われるため、スポーツドリンクやゼリー飲料で補給が効果的
③ 間食でエネルギーを補う
- 試合前後や練習間にゼリー飲料やスポーツドリンクを活用
- 手軽にグリコーゲン補充ができ、集中力維持にも有効
3. 日々のトレーニングで体力底上げ
① 心肺機能向上
- HIIT(高強度インターバルトレーニング)は心肺機能・持久力を効率的に高めることが証明されています。
- 成長期では短時間の全力ダッシュ×休憩を組み合わせることで、酸素運搬能力や乳酸耐性が向上します。
② 筋力・パワー強化
- 自重トレーニング(スクワット・プッシュアップ)やラダー・ジャンプなどのプライオメトリクス
- 専門的背景:筋力向上は動作効率を高め、同じエネルギーでより速く・長く動けるようになります。
③ 神経系・協調性の向上
- ステップワーク、ドリブル、パス練習で運動協調性を養う
- 神経筋の協調性が向上すると無駄な動きが減り、疲労蓄積を防げます。
4. セルフケアと回復
① 睡眠の重要性
- 成長ホルモンは睡眠中に分泌され、筋肉・骨・内臓の発達や疲労回復に不可欠
- 推奨:小学生9〜10時間、中高生8〜9時間
② 試合後の回復
- 静的ストレッチでリラックス → 筋肉の緊張を和らげ心理的疲労も軽減
- 軽めのジョグやウォーキングで血流促進 → 疲労物質の除去
③ 栄養補給のタイミング
- 試合後30〜60分以内に炭水化物+タンパク質を摂取
- 水分と電解質も同時に補給
5. まとめ
成長期のサッカー選手が体力的に追いつかないのは、身体の成長・心肺機能・神経系・栄養・休養が複合的に関係しています。
対策としては以下が重要です。
- 炭水化物中心+タンパク質でエネルギーと回復を確保
- 水分・電解質をこまめに補給
- HIITや筋力トレーニングで心肺機能・筋力・協調性を向上
- 睡眠・休養を優先
- 静的ストレッチでリラックス、血流促進
これらを総合的に実践することで、複数試合でも最後まで動ける身体を作ることができます。