テニスのダブルスには「前衛」と「後衛」があり、それぞれに役割があります。
前衛はネット近くでプレッシャーをかけ、ボレーやスマッシュで勝負を決める存在。
後衛はベースラインからラリーを支え、試合の流れをコントロールする存在です。
この違いを理解することは、体づくりや練習メニューを考えるうえでとても重要です。
ただし、トレーニングに「これだけやればいい」という万能な方法はありません。
ラダーやランニングといった定番メニューも大切ですが、それだけでは十分ではないのです。
大切なのは、基本となる練習をきちんと積み重ねたうえで、個性や課題に応じた工夫を加えること。
そして何より「圧倒的な練習量」をこなすことです。
量をこなす中で質を意識していけば、経験が積み上がり、技術が本物になっていきます。
前衛の役割とトレーニングのポイント
前衛の仕事は「攻めて相手に圧をかけること」です。
ネット付近でボールを仕留めたり、動きで相手を揺さぶったりして、試合の流れを変えます。
そのために必要なのは「瞬発力」と「反応の速さ」。
専門的に言えば、前衛は「一歩目を素早く動かす筋肉」と「一瞬で力を出す能力」を鍛える必要があります。
でも、難しく考える必要はありません。
例えば次のようなシンプルな練習で十分です。
- 短距離ダッシュ:5~10メートルを全力で繰り返す
- ジャンプ系トレーニング:その場ジャンプや連続ジャンプで爆発力を磨く
- 反応練習:近距離から球を出してもらい、とっさにボレーで返す
これらを続けることで、ネット際での動きに速さと鋭さが生まれます。
後衛の役割とトレーニングのポイント
後衛の仕事は「ラリーを支えて試合を安定させること」です。
相手に簡単にポイントを与えず、前衛が動ける状況を作り出します。
そのために必要なのは「持久力」と「安定感」。
専門的に言えば、後衛は「長く動き続ける心肺機能」と「フォームを崩さない下半身の強さ」が欠かせません。
でも、これも特別な器具がなくても鍛えられます。
おすすめは次のようなシンプルな練習です。
- ランニングやインターバル走:走り続ける力を養う
- スクワットやランジ:下半身を安定させる基本トレーニング
- ラリー練習(回数目標を決めて継続):安定したフォームで打ち続ける習慣づけ
これらを続けることで、長いラリーでも崩れない体と気持ちが育ちます。
共通する基本と個性を生かす工夫
前衛と後衛では役割は違いますが、全員に共通する「基本メニュー」もあります。
例えば、体幹トレーニングやフットワークの基礎練習は誰にとっても必要です。
体の軸が安定していなければ、どんなショットも安定しません。
そのうえで大切なのが「個性を生かす工夫」です。
同じ前衛でも「スマッシュは強いが細かい動きが苦手な選手」もいれば、「反応は速いが力強さが足りない選手」もいます。
同じ後衛でも「走力がある選手」と「安定感がある選手」では、伸ばすべき部分が違います。
長所を伸ばし、課題を補うトレーニングを選ぶことが、その選手の力を最大限に引き出します。
まとめ
前衛と後衛は、ただ立ち位置が違うだけではありません。
前衛は「瞬発力と反応」で相手に圧をかける役割。
後衛は「持久力と安定感」で試合を支える役割。
それぞれが違う力を必要としているからこそ、体づくりの方向性も変わります。
そして共通して大切なのは、量をこなしながら質を求める姿勢です。
どんなに専門的なトレーニングでも、少しだけやっても意味がありません。
繰り返し取り組むことで体が覚え、そこに質を意識することで本当の技術になります。
最後に忘れてはならないのが「個性を生かすこと」。
選手一人ひとりの特徴を理解し、前衛でも後衛でも自分らしさを武器にして戦うことが、ダブルスの強さにつながります。