長距離走をしていると「口の中が鉄っぽい」「金属の味がする」と感じることがあります。

これは体の生理反応や運動負荷によって起こる現象で、原因を理解し、対策をとることでパフォーマンス維持や体調管理に役立ちます。

鉄の味がする主な原因

1. 血液由来

長時間のランニングで、脚や口腔内の毛細血管が軽く損傷することがあります。微量の血液成分が口の中に届くと、鉄の味として感じられます。

2. 口腔や鼻腔の影響

激しい呼吸や口呼吸で、口や鼻の粘膜の毛細血管が刺激されることがあります。この血液成分も鉄の味の原因になります。

3. 口腔内のpH変化

激しい運動で乳酸が蓄積し、血液や唾液の酸性度が一時的に上がると、鉄イオンの感覚受容が敏感になり、金属の味として感じやすくなります。

運動前に水やスポーツドリンクで口腔内を軽く潤すことでpH変化を和らげると、鉄の味を感じにくくなります。

4. 呼吸・肺への負荷

長距離走で深呼吸が続くと、肺の微小血管にストレスがかかり、ごく稀に口腔内に微量の血液が届くことがあります。これも鉄の味の一因です。

対策と予防方法

口腔ケア

歯磨きやうがいで口内の血液や鉄分残留を減らす。トレーニング後に口をゆすぐだけでも味が軽減されます。

練習環境・負荷調整

路面が硬すぎる場所や長距離連続ランを控える。心拍数が上がりすぎるペースでの練習は控えめに。

栄養補助

鉄分不足や貧血がある場合、体は鉄感覚に敏感になりやすい。必要に応じて鉄分を含む食品(赤身肉、レバー、ほうれん草など)を摂取。

水分補給とpH管理

運動中は唾液分泌が減るため口腔内が酸性になりやすい。水やスポーツドリンクで口内を潤し、酸性化を抑えると鉄の味を軽減できます。

体調チェック

鉄の味が頻繁に出る場合や出血を伴う場合は、貧血や血管系の異常のサインであることもあります。必要に応じて血液検査や医師の診断を受けることが大切です。

まとめ

長距離走中の「鉄の味」は、血管の軽い負荷や唾液・体内の酸性化による自然な生理現象です。

ほとんどの場合は軽度で無害ですが、練習環境の調整、口腔ケア、栄養・水分管理で軽減可能です。

頻繁に起こる場合は、体からの警告信号として専門家に相談しましょう。