学生テニスプレイヤーにとって、成長期は体が大きく変わる大切な時期です。

身長や体重が急に変化すると、これまでの動きの感覚や運動イメージがずれてしまうことがあります。

結果として、思った通りの動きができず、パフォーマンスに影響することも少なくありません。

この時期に大切なのは、体の変化に適応しながら基礎運動能力を維持・向上させることです。

今回は、成長期の身体変化とその対応方法を運動・トレーニング・生活習慣の観点から解説します。

1. 成長期の身体変化と運動への影響

1-1. 身長・体重の変化による重心の移動

成長期には身長や体重が急激に変わることで、重心の位置が変化します。

これにより、以下のような影響が出やすくなります:

  • ステップワークや方向転換のタイミングが合わない
  • バランスが取りにくくなり、動きがぎこちなく感じる
  • 今までのスイングやフットワークの感覚がずれる

1-2. 運動イメージとのズレ

成長によって筋力や柔軟性のバランスも変化するため、以前の運動イメージと実際の動きにズレが生じます。

これにより、ラリー中や試合で思った通りのパフォーマンスが出しにくくなることがあります。

2. 基礎的な運動感覚を維持する重要性

成長期は、基礎運動能力の維持が非常に重要です。

特に以下の点を意識すると、動きのズレを最小限に抑えられます:

  • ウォームアップの固定化
    ある程度同じ内容のウォームアップを毎回行うことで、体の重さや関節の動き、バランスの変化を感じ取りやすくなります。
    例:ステップワークドリル、ジャンプ・スクワット、体幹の安定運動
  • バランス・コーディネーション
    片足バランスやラダー運動で、体の位置感覚を常に意識する
  • 柔軟性・可動域のチェック
    成長期は筋肉や腱が伸びきらず、関節可動域が制限されることがあります。ウォームアップやストレッチで柔軟性を保つことが重要です。

3. 成長期に合わせたトレーニングの工夫

3-1. 筋力と動作の連動を重視

  • 単純な筋トレだけでなく、テニス動作に直結した体幹と下半身の連動トレーニングを取り入れる
  • 例:ステップ+ラケットスイング、ジャンプ+ショートラリー

3-2. 短時間・高頻度の軽負荷トレーニング

  • 成長期は骨や関節に負担をかけすぎないことが大切
  • 軽めの負荷で正しい動作を繰り返すことで、運動神経と筋力の発達を促す

3-3. 三半規管・視覚・動作反応の強化

  • 高速ボールや方向転換に対応するため、視覚・バランス・反応速度を鍛える
  • 例:左右に素早く動きながらの反応ドリル、ボール追従ドリル

4. 栄養と生活習慣のポイント

4-1. 栄養バランスの重要性

  • 成長期は偏った食事より、主食・主菜・副菜をバランスよく摂ることが基本
  • 練習や試合で消費カロリーが増えれば、その分の摂取も増やすことが必要
  • 無理な制限より、体を動かすエネルギーを確保することが優先

4-2. 睡眠・休養

  • 成長ホルモンの分泌は睡眠中に活発になるため、十分な睡眠(8時間以上)が必須
  • 過度な疲労を溜めないため、休養日や軽めの回復練習を取り入れる

4-3. 水分・電解質管理

  • 成長期は汗量も増えやすく、脱水に注意
  • 運動前後の水分補給で、体の動きを安定させる

5. 成長期の適応を意識した練習のポイント

  1. ウォームアップを固定化し、体の変化を感じる習慣を持つ
  2. バランス・体幹・可動域を意識した基礎トレーニングを継続する
  3. 軽負荷・高頻度で正しい動作を反復し、成長に応じて修正する
  4. 栄養バランスを整え、消費カロリーに応じた摂取を心がける
  5. 睡眠・休養・水分補給で体の回復を最大化する

まとめ

成長期は身長・体重・筋力の変化により、テニスの動きが一時的にぎこちなくなることがあります。

しかし、基礎運動能力を意識したウォームアップやトレーニング、栄養と生活習慣の管理を行えば、体の変化に適応しつつパフォーマンスを維持・向上できます。

学生テニスプレイヤーは、自分の体の変化を感じ取り、意識的に調整することで、成長期を最大の成長チャンスに変えましょう。