中距離・長距離のランニングでは、心肺持久力と筋持久力の両立がパフォーマンス向上の鍵です。
心肺持久力だけ鍛えても後半に筋力が持たず、筋持久力だけ鍛えてもスピード維持が難しいため、両者をバランスよく鍛えることが重要です。
この目的に最適なのが、間欠走(インターバルトレーニング)とLSD(Long Slow Distance:長時間低速走)の組み合わせです。
間欠走(インターバルトレーニング)の役割
目的
- 最大酸素摂取量(VO₂max)を向上
- 心拍数の高い状態での走りを習慣化
- スピード持久力を強化
特徴
- 高強度(レースペース以上)で短距離を繰り返す
- 間に回復走や休憩を入れることで心肺・筋肉を効率的に刺激
メリット
- 心拍数を高水準に保つため、心肺能力が飛躍的に向上
- 疲労状態でもスピードを維持する神経系・筋連動が鍛えられる
LSD(長時間低速走)の役割
目的
- 筋持久力を強化
- 関節・腱・筋肉の耐久性向上
- ペース維持力の向上
特徴
- 長時間、低〜中強度で一定ペースを維持
- 心拍数は低めで脂肪燃焼にも効果的
メリット
- 長距離走に必要な筋肉の持久力を高める
- 疲労してもフォームを維持できる筋肉制御能力が向上
間欠走 vs LSDの最適組み合わせ
中距離・長距離ランナーの場合、両者を組み合わせることで心肺持久力と筋持久力を同時に強化できます。
トレーニング例
- 週2〜3回の間欠走
- 400m〜1000mの高強度走を5〜8本
- インターバルは走った距離の半分〜同じ距離を軽くジョグ
- 心肺能力とスピード持久力を強化
- 週1〜2回のLSD
- 中距離は60〜90分、長距離は90〜120分
- ペースは会話ができる程度の低強度
- 筋持久力と疲労耐性を向上
注意点
- LSD後は高強度トレーニングを入れない(回復優先)
- インターバル後は疲労状態でフォームを崩さないよう意識
- 強度・距離は段階的に増やす(オーバートレーニングを避ける)
トレーニング効果を最大化するポイント
- 目的別に負荷を分ける
- 心肺持久力向上:間欠走
- 筋持久力・フォーム維持:LSD
- 神経系・筋連動を意識
- 間欠走中は高強度でもフォームを崩さず、スピードを効率的に伝える意識
- LSDでは筋肉疲労が溜まっても安定した動作を維持する意識
- 週単位でバランス調整
- 例:月曜:間欠走、木曜:LSD、土曜:軽めの回復ジョグ
- 疲労と回復を考慮して順序・強度を調整
まとめ
心肺持久力と筋持久力の両立には、間欠走で高強度刺激を与えつつ、LSDで持久力とフォーム安定性を養うことが最適です。
- 間欠走:スピード持久力と心肺能力を強化
- LSD:筋持久力と疲労耐性、フォーム維持力を向上
- 組み合わせ:週単位でバランスよく配置することで、効率的にレース後半まで高いパフォーマンスを維持できる
プロの視点では、両者は単独ではなくセットでプランニングすることが最大の効果を生むポイントです。