長距離種目では、持久力を高めるために練習量が大幅に増えやすく、慢性的な疲労が蓄積しやすい特徴があります。
オーバートレーニングは短距離以上に見過ごされやすく、「気づいた時には走れなくなっていた」というケースも少なくありません。
ここでは長距離特有の指標を整理します。
長距離の競技特性と疲労
- 長時間の有酸素運動で心肺・筋持久力に大きな負荷
- 日々の走行距離増加によって慢性的疲労が積み重なる
- 高強度インターバルや距離走が重なると、回復不足に陥りやすい
長距離では「質」よりも「量の積み重ね」による疲労が特徴的です。
オーバートレーニングを示す主な指標
1. 心拍数の変化
- 安静時心拍数の上昇(平常時より+5~10拍)
- 同じペースでも心拍が高くなる(ランニングエコノミー低下)
→ 自律神経の乱れを反映する最もわかりやすい指標です。
2. 主観的疲労感の持続
- ジョグでも身体が重い
- 「走りたくない」と感じる日が続く
→ 精神的な抵抗感も重要なサイン。モチベーション低下はオーバートレーニングの典型です。
3. 免疫機能の低下
- 風邪をひきやすい、口内炎が増える
- 小さな不調が長引く
→ 長距離の「過剰走行量」が免疫力低下を引き起こします。
チェック方法
- 安静時心拍数の毎日記録:1週間平均で上昇傾向が見られたら注意
- RPEと気分の記録:「疲労感が取れない」「集中力が出ない」など心理面をチェック
- 体重や睡眠の変化:体重減少や浅い睡眠が続けば要注意
まとめ
長距離選手にとってオーバートレーニング指標は、心拍・免疫・主観的疲労感が中心となります。
短距離のような神経系疲労とは異なり、「慢性疲労の積み重ね」が特徴的です。
走行距離を伸ばすことは大切ですが、「休養もトレーニングの一部」という視点を忘れてはいけません。
日々の小さな変化を見逃さず、量と質のバランスを管理することが長期的な競技力向上につながります。