スクラムはラグビーで最も負荷の高いプレーの一つです。
特に学生ラグビーでは筋力や骨格の発達段階に差があるため、股関節屈曲・内旋の可動域を確保することが、パフォーマンスと怪我予防の両方に直結します。
股関節が硬いと骨盤が後傾し、腰や膝に過剰な負荷がかかります。その結果、腰痛や膝の靭帯損傷リスクが高まり、スクラムで安定した力を発揮できなくなります。
股関節可動域の評価と目安
スクラム時の可動域を簡単に確認する方法と目安です。
- 股関節屈曲:仰向けで片膝を胸に引き寄せ、反対脚は床に伸ばす
- 目安:120°以上あるとスクラム屈曲動作で代償が出にくい
- 股関節内旋:股関節90°屈曲で膝を外側に倒す
- 目安:左右30°以上あると骨盤後傾や膝内反の代償を防ぎやすい
専門ポイント:左右差は5°以内が理想。差が大きいと、スクラム時に片側に負荷が集中します。
可動域確保のための基本トレーニング
股関節の柔軟性と安定性を向上させるトレーニングは以下の2つを中心に行います。
- 動的ストレッチ・モビリティ
- ランジ+骨盤前傾で股関節屈曲を改善
- ヒップブリッジ+膝内外倒しで股関節内旋と安定性を強化
- 押し込み系トレーニング
- スクラムマシンやパートナーとの押し込みドリルで、股関節角度を保ったまま力を伝える感覚を習得
- レッグプレスで下肢のパワーを強化
ポイント:可動域を維持しながら押すことで、安全にスクラムパワーを向上できます。
スクラム前ウォームアップ例
- 軽いジョグで血流促進
- ランジ+膝内外倒しで股関節可動域を確認
- 軽い押し込みドリルでスクラム動作の感覚をチェック
この順序で行うと、股関節の柔軟性と安定性を最大限活かせます。
まとめ
- スクラムでは股関節屈曲・内旋可動域の確保が安全性とパフォーマンスに直結
- 可動域不足は腰や膝に代償負荷がかかり、怪我リスクを高める
- 動的ストレッチ+モビリティドリル+押し込み系トレーニングを組み合わせることで、効率的にスクラムスキルを向上
定期的な可動域チェックと左右差の管理が、学生ラグビー選手の安全かつ効率的な成長につながります。