1. 400m走の特徴
400mは「最長の短距離」と呼ばれ、無酸素系と有酸素系がほぼ半々で使われる特殊な種目です。
- 前半200mは無酸素系(ATP-CP系・解糖系)が中心
- 後半200mは有酸素系の働きが大きくなる
つまり「呼吸の仕方」が100m以上にパフォーマンスを左右します。
2. 走行前の呼吸 ― 酸素準備とリズム作り
400mは序盤からスピードを上げる必要があるため、スタート前の酸素準備が特に重要です。
- 深い呼吸で酸素を血液に溜め込む
- 長く吐いて緊張を抑える
- 呼吸を一定のリズムで繰り返すことで、走行中の呼吸パターンに入りやすくなる
3. スタート直後(0〜100m)
100m走と同様に、最初の加速では一時的に息を止めて爆発力を高める選手もいます。
ただし400mは距離が長いため、早めに呼吸を再開して酸素供給を確保することが必須です。
4. 中盤(100〜250m)
ここが400m走の呼吸戦略の肝です。
- ピッチと連動させた浅めのリズム呼吸(例:2歩で吸って2歩で吐く)
- 「吸う」よりも「吐く」を意識することで体の力みを防ぐ
- 呼吸の乱れはフォームの乱れに直結するため、できるだけ一定のリズムを維持する
5. 終盤(250〜400m)
最も苦しくなる区間で、乳酸が大量に蓄積し「酸欠状態」に近づきます。
この時期に完全に呼吸が乱れるとフォームが崩れ、スピードダウンにつながります。
- 浅くてもいいので呼吸を止めない
- 「短く吸って、しっかり吐く」を意識する
- 呼吸と動作をリンクさせることで、最後まで推進力を維持できる
6. ゴール後 ― 急速な回復呼吸
400m走は「酸素負債」が非常に大きく、ゴール直後に呼吸が荒れるのは必然です。
- 大きく吸って長く吐く
- 歩きながら深呼吸を繰り返す
- これにより乳酸処理が早まり、リカバリーもスムーズになる
7. 練習で身につける呼吸法
① インターバル走で呼吸を整える
- 200mや300mのインターバル走を繰り返す
- 疲れても呼吸をリズムに乗せることを意識
- 「走行中に乱れた呼吸を素早く整える」練習になる
② 呼吸ドリル(歩行やジョグで実施)
- 4歩で吸って4歩で吐く → 徐々に2歩・2歩に短縮
- 吐くときに肩や胸の余計な力を抜く
- 走行中も呼吸を止めずにリズム化できるようになる
③ スタート前のルーティン呼吸
- 「吸うより吐く」を長めにする深呼吸を2〜3回
- 緊張を和らげ、心拍を整える
- 毎回同じ呼吸をすることで試合でも安定した走りにつながる
まとめ
- 400mは無酸素と有酸素がほぼ半々で使われる特殊な種目
- 走行前の深い呼吸で酸素準備と集中
- 序盤は爆発力、ただし呼吸再開を早めに
- 中盤はリズム呼吸で力みを防ぐ
- 終盤は吐くことを意識して耐える
- ゴール後は深呼吸で素早い回復
- インターバル走や呼吸ドリルで練習中から呼吸をコントロールすることが大切