スポーツの練習中、「もっと筋肉を意識して!」「フォームをしっかり整えて!」といった声を聞いたことはありませんか?

もちろん身体を意識することは大切ですが、どこに意識を向けるかによって、動きのスムーズさやパフォーマンスは大きく変わります。

今回は、動作の質を高めるヒントとなる「インターナルフォーカス」と「エクスターナルフォーカス」という2つの考え方を紹介します。難しい言葉に聞こえるかもしれませんが、使いこなすと練習の質がグッと上がります!

インターナルフォーカスとは?

インターナルフォーカスとは、自分の身体の内側(筋肉や関節の動き)に意識を向けることです。

たとえば…

  • 「太ももをしっかり使ってジャンプしよう」
  • 「お尻の筋肉を意識してしゃがもう」
  • 「肩甲骨を寄せながら腕を引いて」

というように、筋肉や身体のパーツを意識して動こうとするのがインターナルフォーカスです。

フォームを整えたい時や、どの筋肉を使っているか確認したい時には、この意識の使い方が役に立ちます。

エクスターナルフォーカスとは?

一方、エクスターナルフォーカスとは、身体の外側にある目標や環境に意識を向けることです。

たとえば…

  • 「床を力強く押してジャンプしよう」
  • 「イスに座るようにしゃがんでみよう」
  • 「バーを天井に向かって持ち上げよう」

といったように、筋肉よりも動きの目的や結果に意識を向けるのがエクスターナルフォーカスです。

実際のスポーツ動作では、こちらの意識の方が自然でスムーズな動きが出やすいことが、さまざまな研究でわかっています。

どっちが正解? 自分に合う感覚を大切に

ここで大事なのは、「インターナルが良い」「エクスターナルが正しい」と決めつけないことです。

それぞれにメリットがあり、目的や自分の感覚に合わせて使い分けることが大切です。

インターナルフォーカスが向いている場面

  • 初心者で正しいフォームを覚えたい時
  • 特定の筋肉を意識して鍛えたい時(例:筋トレでお尻や背中を鍛える)
  • ケガからのリハビリやフォームの修正をしたい時

エクスターナルフォーカスが向いている場面

  • 実際のスポーツプレー(試合やゲーム)の中
  • 動きのスピードや出力を上げたい時
  • スムーズに身体を動かしたい時

スポーツ選手の多くが、練習の中で「感覚が良くなる意識の向け方」を探しながら、状況に応じて切り替えています。

スクワットを例に意識の違いを考えてみよう

たとえばスクワットの動作で考えてみましょう。

  • 「お尻を意識してしゃがもう」→これはインターナルフォーカス。お尻の筋肉を意識することで、狙った部位に刺激を入れやすくなります。
  • 「イスに座るようにしゃがもう」→これはエクスターナルフォーカス。身体の外にある“イス”というイメージが入ることで、自然にスムーズな動きが出やすくなります。
  • 「床を強く踏んで立ち上がろう」→これもエクスターナルフォーカス。より力強く動ける感覚が出やすくなります。

このように、同じ動きでも意識の向け方を少し変えるだけで、感覚や結果が大きく変わることがあります。

動きやすい方を、自分で試して選ぼう

一番大切なのは、「どちらの意識が合っているかを、自分自身で感じて選ぶこと」です。

  • 筋肉を意識するとフォームが安定する人もいれば、
  • 外の目標を意識した方がリズムよく動ける人もいます。

「自分はどちらの意識の方が動きやすいかな?」

「この練習ではどっちの意識を使った方が良さそうかな?」

そんなふうに考えながら練習していくと、自然と自分のプレースタイルに合った意識の使い方が身についていきます。

当ジムのサポート中も目的とする動作を効果的に実践していただくためにインターナル・エクスターナルフォーカスの考え方を活用した指導も取り入れています。

まとめ|意識の向け方が動きを変える

  • インターナルフォーカスは筋肉や身体の動きに意識を向ける方法
  • エクスターナルフォーカスは目標や環境に意識を向ける方法
  • スポーツの動きでは、エクスターナルの方がスムーズになることが多い
  • でも、どちらが正しいではなく、自分に合う感覚を選ぶことが大切
  • 状況や目的に応じて、意識を切り替えることで動きの質が変わる

「ただ頑張っているのに、なぜかうまくいかない…」

そんな時は、意識の向け方を変えることで、感覚がガラッと変わることがあります。

今日の練習から、ぜひ試してみてください!