「太ももやハムストリングスが張っている」「腰まわりが硬い」
陸上競技の練習や試合中、こうした感覚を持つことは多いと思います。
筋肉の硬さや張りは、単純に縮むことで生じるとは限りません。
筋肉は縮むだけでなく、伸ばされることで硬くなりストレスが蓄積されることもあります。
この理屈を理解すると、日々の練習やケアの考え方が変わり、パフォーマンスの安定やケガ予防に役立ちます。
筋肉の硬さには二つのタイプがある
筋肉の張りや硬さには大きく二つのタイプがあります。
一つ目は短く縮んで硬くなる筋肉です。
これは一般的に「張っている」と感じる状態で、繰り返しの動作や偏った姿勢によって起こります。
短距離のスタートダッシュやスプリント、長距離のラストスパートなどで使うハムストリングスやふくらはぎが代表例です。
二つ目は伸ばされて硬くなる筋肉です。
これは常に引っ張られた状態で硬さを感じ、腰や骨盤、大腿四頭筋や腹筋の影響で起こります。伸ばされることで筋力も発揮しにくくなることがあります。
同じ「張っている」感覚でも、短縮によるものか伸張によるものかで原因や対策は変わります。
陸上競技ごとの伸ばされ硬さの例
陸上には短距離、中距離、長距離と様々な種目があります。それぞれ動作の特徴により、筋肉が伸ばされ硬くなる場面も異なります。
短距離
スタートダッシュや全力スプリントでは、股関節を強く前後に動かすため、ハムストリングスや大腿四頭筋、ふくらはぎが伸ばされて硬くなることがあります。
特にスタート時の前傾姿勢やブロックからの踏み込みで腰や骨盤が前傾すると、ハムストリングスが引っ張られ筋力発揮がしにくくなることがあります。
中距離
中距離はスピードと持久力を兼ね備えた動きが求められます。
ペース走やラストスパートで股関節や腰の動きが連続するため、大腿四頭筋や腹筋の影響で骨盤が前傾し、ハムストリングスが伸ばされ硬くなる場合があります。
これにより、疲労感が早く現れることもあります。
長距離
長距離はリズムを重視したランニングが続きます。
着地や蹴り出しの繰り返しで、ハムストリングスや下腿の筋肉が常に引っ張られる状態になりやすく、縮む硬さだけでなく伸ばされ硬さも蓄積されます。
特にフォームの崩れや骨盤前傾が続くと、筋力発揮や耐久力に影響します。
硬さの理屈を理解する意味
筋肉が縮むだけでなく伸びて硬くなることを理解すると、次のことが分かります。
- 感覚だけでは状態を判断できない
「張っている=縮んでいる」と思い込み、ストレッチだけで対応すると逆効果になる場合があります。 - 筋肉の発揮力に影響する
伸ばされ硬くなった筋肉は力を出しにくくなるため、スタートダッシュやラストスパート、蹴り出しの力に影響します。 - 体全体のバランスが関係する
腰や骨盤、腹筋や大腿四頭筋の状態も硬さに影響するため、単に硬い筋肉だけを伸ばすだけでは不十分です。
練習やケアに活かす
陸上選手は、日常的に筋肉の張りを感じる場面があります。
重要なのは、「縮むだけで硬くなるわけではない」「伸ばされて硬くなることもある」と理解することです。
単純なストレッチだけでは解消できない場合もあります。
体全体の姿勢や骨盤・腰のバランスを意識し、周囲の筋肉や関節の影響も考慮することで、疲労の蓄積を防ぎ、パフォーマンスの低下やケガのリスクを減らすことができます。
まとめ
筋肉の硬さは縮むだけで起こると思いがちですが、実際には伸ばされることで硬さや張りが生じることもあります。
陸上競技選手にとっては、スタートダッシュやスプリント、持久走の安定、パワーや踏ん張りの発揮、疲労やケガのリスク軽減につながります。
単に筋肉を伸ばすだけでなく、体全体のバランスや筋肉の関係性を意識することが大切です。
理屈を理解することで、日々の練習やケアの質が変わり、より効率的に成長できる体づくりが可能になります。

