陸上競技に取り組んでいると、「しっかり走ったはずなのに記録が伸びない」「フォームを意識しているのにうまくいかない」と感じることがあります。

その原因は、努力不足ではなく、自分の動きを正しく把握できていないことにある場合が少なくありません。

そこで大きな力を発揮するのが、自分の動きを動画でチェックすることです。

これは短距離・中長距離・跳躍・投てき、すべての種目に共通する、非常に効果的な成長方法です。

感覚と実際の動きは一致しない

陸上競技では、「感覚」がとても大切にされます。

しかし、人は自分の動きを頭の中でイメージしながら動いているため、その感覚と実際の動きがズレていることが多くあります。

例えば、

・腕をしっかり振っているつもりでも、振りが小さい
・前に進んでいる感覚でも、上下動が大きい
・リラックスしているつもりでも、肩や首に力が入っている

これらは走っている最中には気づきにくいものです。

動画を見ることで、こうしたズレを客観的に確認できます。

陸上競技は「フォームの差」が結果に直結する

陸上競技は、動きがシンプルに見える分、フォームの小さな違いが結果に大きく影響します。

特に学生期は、体が成長途中にあり、動きが日々変化します。

動画を活用することで、

・接地の位置
・姿勢の崩れ
・ピッチとストライドのバランス

といったポイントを視覚的に把握でき、言葉で考えるよりもはるかに理解しやすくなります。

種目別に見る動画チェックのポイント

短距離

スタート姿勢、最初の数歩、上体の起き上がりのタイミングは特に重要です。

動画で確認することで、力の伝え方のロスに気づけます。

中・長距離

フォームの左右差や、疲れてきた後半の姿勢変化をチェックしましょう。

無駄な力みはスタミナ消耗につながります。

跳躍・投てき

助走のリズムや踏切・リリースのタイミングは、動画でこそ明確になります。

感覚だけでは修正が難しい部分です。

上達する選手ほど「事実」を見る

記録が伸びる選手ほど、自分の感覚だけに頼りません。

動画という「事実」を見て、自分の動きを冷静に受け止めます。

動画があることで、

「今日は調子が悪かった」ではなく

「後半で接地が前に流れていた」

と具体的な課題に変わります。

これにより、次の練習で何を意識すべきかが明確になります。

動画チェックで大切な考え方

すべてを一度に直そうとしないことが大切です。

まずは「1つだけ」改善点を見つける。

そして、それを意識して次の練習に取り組む。

この繰り返しが、確実な成長につながります。

専門家からのアドバイス

動画を見る際は、うまくいかなかった動きだけでなく、良かった動きも必ず確認してください。

調子の良いときのフォームは、今後の基準になります。

また、他人と比べるのではなく、「昨日の自分」と比べることが大切です。

まとめ

学生陸上において、自分の動きを動画で確認することは、感覚と実際の動きのズレを知り、効率よく成長するための強力な武器です。

ただ走る・跳ぶ・投げるだけで終わらせず、動画で振り返る習慣を持つことで、競技力は確実に積み上がっていきます。

今日の一本、今日の一歩を、次の成長につなげていきましょう。