「柔軟性が高いのは良いこと」「体が柔らかい選手はケガをしにくい」
学生バレーボールの現場では、今もこうしたイメージが根強く残っています。
確かに、一定の柔軟性はバレーボールにおいて大きな武器になります。
しかし一方で、関節が“柔らかすぎる”状態は、パフォーマンス低下や慢性的なケガの原因になることも少なくありません。
本記事では、学生バレーボール選手に多く見られる「関節が柔らかすぎることによるデメリット」と、その具体的な対策について、専門的な視点から解説します。
関節が柔らかすぎるとはどういう状態か
関節が柔らかすぎる状態とは、単にストレッチが得意という意味ではありません。
関節を支える筋肉や腱による“安定性”が不足し、必要以上に可動してしまう状態を指します。いわゆる「関節の不安定性」や「過可動性(ハイパーモビリティ)」です。
特に成長期の学生は、骨の成長に対して筋力や神経制御が追いつかず、一時的にこの状態になりやすいのが特徴です。
柔らかすぎる関節がもたらすデメリット
① 力がうまく伝わらない
ジャンプやスパイク動作では、床反力を効率よく身体に伝える必要があります。しかし関節が不安定だと、エネルギーが分散し、
- ジャンプが低い
- スパイクの打点が安定しない
- 力強い動きが出ない
といった問題が起こります。
② 着地や急停止でケガをしやすい
膝・足首・肩などが過剰に動くことで、
- 足首の捻挫
- 膝の靱帯トラブル
- 肩や肘の慢性痛
につながりやすくなります。特に繰り返しのジャンプと着地が多いバレーボールでは、リスクが高まります。
③ フォームが安定しない
関節が安定しない選手は、プレーの再現性が低くなりがちです。
「調子の良い日と悪い日の差が激しい」「試合になると崩れる」といった悩みの背景に、関節の過可動が隠れているケースもあります。
「柔らかい=ストレッチを増やす」は間違い
関節が柔らかい選手ほど、実はストレッチのやりすぎが逆効果になることがあります。
柔軟性はすでに十分あるため、必要なのは「可動域を広げること」ではなく、「その可動域をコントロールする力」です。
具体的対策例
① 安定性を高める筋力トレーニング
重要なのは重いウエイトではありません。
- 股関節・膝・足首周り
- 肩甲骨・体幹
といった関節を支える筋群を、正しいフォームで鍛えることが最優先です。
片脚スクワット、ヒップリフト、プランクなど、自重トレーニングでも十分効果があります。
② ゆっくり動かすトレーニング
反動を使わず、ゆっくりと関節をコントロールする動きは、不安定な関節に非常に有効です。
スピードよりも「止める・支える」感覚を養うことがポイントです。
③ ストレッチは「必要最小限」に
全身を一律に伸ばすのではなく、
- 硬くなりやすい部位のみ
- 練習前は動的、練習後は静的
と目的を明確に行うことが大切です。
④ 成長期であることを前提に考える
学生選手の身体は常に変化しています。
一時的な柔らかさを「才能」と決めつけず、将来の安定した身体づくりを見据えた指導が不可欠です。
おわりに
柔軟性はバレーボールにおいて重要な要素ですが、柔らかければ良いわけではありません。
本当に必要なのは、「動ける可動域」と「支えられる安定性」の両立です。
関節が柔らかすぎる学生選手ほど、正しい体づくりを行うことで、ケガを減らし、パフォーマンスを大きく伸ばす可能性を秘めています。
今一度、ストレッチ偏重の考え方を見直し、「安定させる体づくり」に目を向けてみてください。

