健康づくりのために運動を始めたい方から、よく「ウォーキングとランニング、どちらの方が体に良いのか」と相談を受けます。
どちらも素晴らしい運動ですが、それぞれの効果を正しく理解し、自分に合った取り組み方を選ぶことが大切です。
特に、運動による“やる気”や“気分の前向きさ”を左右するドーパミンの分泌量、そして脂肪・糖質といったエネルギーの使われ方を理解すると、運動選びはより明確になります。
ここでは、専門的な仕組みをできるだけ噛み砕きながら、身体づくりの視点でウォーキングとランニングの違いを解説し、日常に生かせるアドバイスとしてまとめていきます。
ランニングの方がドーパミンは出やすい
ドーパミンは「やる気」「達成感」「集中力」に関わる脳内物質です。
そして、分泌量は運動強度に比例する傾向があります。
ウォーキングのような低強度の運動では、もちろん体に良い影響はありますが、ドーパミンの分泌はそこまで大きくありません。
一方、ランニングは心拍数が上がり、筋肉への刺激も大きくなるため、脳が「より多くのエネルギーを使っている」と判断します。
その結果、気分がスッキリしやすく、前向きな心理状態になりやすいのです。
運動を習慣化する上で「気持ちが軽くなる」「やる気が湧く」という効果は非常に大事なため、
メンタル面のメリットを求めるならランニングの方が明確に優位といえます。
もちろん、いきなり走ると膝や腰に負担が出ることもあるので、体力や経験に合わせて徐々に強度を上げることが前提です。
運動強度によって使われるエネルギーが変わる
運動中に身体が使うエネルギー源は主に「糖質」と「脂肪」の2つです。
実は、どちらをどのくらい使うかは運動の強度によって大きく変わります。
低強度(ウォーキング):脂肪がメイン
ウォーキングのように強度が低い運動では、身体は“ゆっくり燃えるエネルギー源”である脂肪を多く使います。
逆に糖質はあまり使われません。
中〜高強度(ランニングや筋トレ):糖質がメイン
ランニングや全力疾走、ウエイトトレーニングなど、瞬発性やスピードが必要な動きでは“すぐに使えるエネルギー”である糖質が使われます。
この仕組みだけを見ると、「脂肪を燃やしたいならウォーキングが良いのでは?」と思うかもしれません。
しかし、身体はそんなに単純ではありません。
身体は必ず“つり合い”を取る:ウォーキングだけでも痩せない理由
脂肪を使ったら、その後は糖質を多く使う。
糖質をたくさん使ったら、次は脂肪が使われやすくなる。
身体はこの“バランス調整”を常に行っています。
つまり、ウォーキングで脂肪をたくさん燃やしても、その後の活動では糖質が多めに使われます。
反対に、筋トレやランニングで糖質を多く使えば、その後は脂肪を優先して燃やそうとします。
脂肪燃焼を目的にするなら、「脂肪を使う運動(ウォーキング)」+「糖質を使う運動(筋トレやランニング)」の組み合わせが最も効率的ということです。
単一の運動だけで痩せるのは難しい理由はここにあります。
どちらか一方に偏るのではなく、身体の仕組みに合わせて両方行うことが大切です。
結局、健康づくりにはどちらをやればいい?
おすすめは以下のような考え方です。
走れる体力がある人
→ ランニング+筋トレの組み合わせ
ドーパミン効果が大きく、習慣化しやすい。脂肪燃焼の効率も高い。
走るのが苦手、膝が不安、体力に自信がない人
→ ウォーキング+短時間の筋トレ
運動習慣がつきやすく、怪我リスクが少ない。
脂肪燃焼も長い目で見てしっかり期待できる。
どちらにも取り組める余裕がある人
→ ウォーキング(低強度)とランニング(中強度)を交互に行う
疲労も管理しやすく、代謝も上がり、ストレス軽減にも最適。
運動の「良い・悪い」は一つではなく、自分の状態に合わせた組み合わせこそ最も効果的です。
トレーナーとして伝えたいこと
運動にはさまざまな方法がありますが、大切なのは「目的」と「継続」です。
・気分を前向きにしたい → ランニング
・運動を習慣にしたい → ウォーキング
・体型を変えたい → 筋トレと組み合わせる
・継続が苦手 → 強度と頻度を落としてまず習慣化
このように、目的ごとに適切な選択肢は変わります。
また、体力や関節の状態は人それぞれなので、「ランニングが良いらしいから無理に走る」という必要はありません。
適切な強度を見極めながら、安全に継続できる方法を選ぶことが何より大切です。
まとめ
ランニングはドーパミンの分泌が高まりやすく、気分がスッキリして前向きな状態を作ってくれます。
ウォーキングは身体への負担が少なく、運動習慣を定着させるには最適です。
さらに、身体は糖質と脂肪のバランスを自動的に調整するため、どちらか一方の運動だけでは効率的に脂肪が落ちるわけではありません。
目的に応じてウォーキング・ランニング・筋トレを組み合わせることで、健康的で続けやすい体づくりが可能になります。

