ラグビーは、走る・止まる・当たる・押す・倒す・起きる・また走る…と、全身の総力戦です。
そしてその複雑で強度の高い動きを支えるのが ウォームアップ。
単なる準備運動ではなく、「ケガを避けて強くプレーするための一番最初の戦術」といっていいほど重要です。
ここでは、成長期でラグビーを頑張る中学生に向けて、ウォームアップの意味、メリット、構成のコツをわかりやすくまとめます。
ウォームアップが必要な5つの理由
1. 全身を動かし、高強度の動きに耐えられる身体を準備する
ラグビーでは、
・短距離ダッシュ
・瞬間的な減速と方向転換
・タックルの衝撃
・モール・ラックでの押し合い
・接触後の立ち上がりと再加速
といった“爆発力+持久力+衝撃”がひっきりなしに訪れます。
ウォームアップで全身の筋肉や関節を広く動かし、試合の負荷に耐えられる身体を段階的につくることが、初動のミスやコンタクト時の弱さを防ぎます。
2. 筋肉を温めて柔軟性・動きやすさを上げる
体温が高まると、
・可動域が広がる
・筋肉の伸び縮みが滑らかになる
・大きな力を出すための準備が整う
ラグビーは大柄な相手に力強く動く場面が多いため、股関節・胸郭・肩周りの柔らかさが動作のスムーズさに直結します。
コンタクトでも身体が潰れにくく、倒れても立ち上がりが速くなります。
3. 神経の反応を高め、瞬発力・敏捷性を引き出す
一歩目の速さ、相手のモーションへの反応、タックルの入り方、サポートの動き出し…。
ラグビーは“判断の速さ”がプレーの成功率を決めるスポーツです。
ウォームアップで軽いスプリントや方向転換、反応練習を取り入れると、
・踏み出しが鋭くなる
・判断が速くなる
・ボール運びやタックルのタイミングが合いやすくなる
といった効果が出ます。
4. 自分の課題を整え、ケガを未然に防ぐ
ウォームアップは、ただ動く時間ではありません。
“自分の身体状態を確かめる時間”でもあります。
・足首の硬さ
・太ももの張り
・肩周りの詰まり
・姿勢の乱れ
・片足立ちの不安定さ
こうした小さな違和感は、タックル・スクラム・接触時のケガにつながります。
ウォームアップ中に軽く整えることで、パフォーマンスを上げながらケガの芽もつぶせるのが大きな利点です。
5. 呼吸と心拍を上げ、試合に入るための身体の“スイッチ”を入れる
ラグビーは開始直後から強度が高く、呼吸が整っていないと走れず、判断も鈍ります。
ウォームアップで呼吸と心拍をゆっくり上げることで、
・動き出しから身体が重くならない
・緊張が抜けて集中が高まる
・コンタクトに入りやすくなる
という状態に整えられます。
ウォームアップのメリット
1. 動きやすくなり、プレーの質が上がる
筋温・可動域・神経の反応が整うことで、
・スプリントの加速が速くなる
・踏み込みが強くなる
・タックルの入りが安定
・接触後の立ち上がりが速くなる
・サイドステップが軽くなる
と、動きの「切れ」が生まれます。
2. ケガを予防し、プレーを継続できる身体を作る
成長期のラグビーは、首・肩・腰・膝・足首などに負担が出やすい時期。
ウォームアップで
・筋温の上昇
・関節の安定
・姿勢の改善
・左右差への気づき
が得られると、
・肉離れ
・足首の捻挫
・首・腰の張り
・衝突系の負傷
を大幅に減らせます。
ケガを減らすことは、技術を伸ばす“練習の量”を守ることでもあります。
3. 試合の入りが良くなり、判断が速くなる
ウォームアップで心拍や神経系が整うと、
・相手の動きを判断しやすい
・サポートの走り出しが早い
・視野が広がる
など、競技特有の判断力が高まります。
4. コンタクトの安定性が上がる
ラグビー特有の強いコンタクトは、身体が温まっていないと危険です。
ウォームアップで姿勢の安定や体幹のスイッチを入れておくと、
・タックルで潰れにくい
・スクラムで押し負けにくい
・接触後にすぐ立ち上がれる
など、プレーの安定度が増します。
ウォームアップ構成のポイント
1. 課題を組み込む
毎日のウォームアップに、自分の弱点を小さく改善する動きを入れると、
・姿勢の崩れ
・走りのブレ
・片側だけの弱さ
・タックル時の不安定さ
を整えることができ、そのまま ケガ予防にも直結します。
例:
・股関節が硬い → モビリティドリル
・タックルで潰れる → 体幹の安定化
・足首が硬い → 足首周りの動き作り
など。
2. 全体は10〜15分が目安(冬場は+5〜10分)
短いと筋温・心拍が足りず、長いと集中が切れます。
最適なのは 10〜15分。
冬場は筋温が上がりにくいため、+5〜10分追加すると安全で動きやすい状態に整えられます。
まとめ
ラグビーのウォームアップは、
・ケガを防ぐ
・強度の高い動きに耐える身体を作る
・コンタクトを安定させる
・動きと判断の質を高める
・チームのテンポを整える
ための 最初の勝負時間です。
成長期の今こそ、しっかり準備した身体でプレーすることが、未来のパフォーマンスを大きく変えます。
ぜひ次の練習から、質の高いウォームアップを取り入れて、一歩ずつ強い身体とプレーを手に入れてください。

