陸上競技は瞬発力、持久力、跳躍力、投擲力など、競技ごとに異なる能力が求められます。

しかしウォームアップの基本は共通しており、筋温上昇・神経系活性化・関節可動域確保が中心です。

学生においては、成長期の筋肉や関節を安全に準備することも重要です。

1. ウォームアップの目的

  1. 筋温・体温の上昇 → 下肢・体幹を中心に血流を促す
  2. 関節可動域の拡大 → 股関節・膝・足首の柔軟性確保
  3. 神経系の活性化 → 瞬発力・スタート反応・跳躍動作を向上
  4. ケガ予防 → ハムストリング・膝関節・足首の故障リスクを低減

2. ウォームアップの流れ(全体像)

  1. 全身の有酸素運動(5分)
  2. 動的ストレッチ(8分)
  3. 競技特性ドリル(10分)
  4. スキル・ポジション別ドリル(5分)

3. 具体的メニュー

(1)全身を温める(5分)

  • 軽いジョグ(トラック1周)
  • サイドステップ、バックペダル、軽いスキップ
  • ダイナミックジャンプ(膝・股関節の伸縮を意識)
    👉 全身を温め、瞬発的動作の準備

(2)動的ストレッチ(8分)

  • レッグスイング(前後・左右) → 股関節・ハムストリングの可動域
  • ランジ+ツイスト → 体幹の回旋と股関節外旋
  • ヒップサークル → 股関節周囲の柔軟性向上
  • アンクルサークル、カーフリフト → 足首の安定性確保

(3)競技特性ドリル(10分)

短距離向け
  • ドリル走(ニーアップ、ハイニー、バットキック)
  • アクセラレーション10〜20m → スタート反応を活性化
跳躍向け
  • 軽いスキップ+踏み切り動作確認
  • ボックスジャンプやラテラルジャンプで膝・股関節を刺激
長距離向け
  • 軽めのジョグ+加速走を交互に繰り返す
  • 呼吸リズムと動作を意識

(4)スキル・ポジション別ドリル(5分)

  • 短距離:スターティングブロック練習、短距離スプリント2〜3本
  • 跳躍:踏み切り・腕振りの連動練習
  • 長距離:加速走+軽いインターバル走でレース感覚を確認

4. フィードバックと工夫

  • 「加速感がスムーズか」「踏み切りが安定しているか」を自己評価
  • チームでルーティン化して、試合前の準備を効率化
  • 動画でフォームチェック → スタート姿勢や腕振りの確認

まとめ

陸上競技におけるウォームアップは、

  1. 軽いジョグや多方向運動で全身を温める
  2. 股関節・膝・足首・体幹の動的ストレッチ
  3. 瞬発力・跳躍力・持久力に直結する競技特性ドリル
  4. ポジション・種目別ドリルでスキル確認

この順序で進めることで、ケガを防ぎつつ、試合や練習に直結するパフォーマンスを引き出せます。

単なるジョグや静的ストレッチではなく、「競技特性に直結したウォームアップ」を徹底することが学生陸上の成果向上に不可欠です。