先日ご来店いただいたお客様が、セッション中に少し咳をされている様子がありました。
体調面が気になりお話を伺ったところ、花粉症ではなく喘息のような症状とのことでした。

体調に不安がある中でも足を運んでいただいたからこそ、「無理をさせないこと」と「その日の状態にとって最善の選択をすること」を大切に対応させていただきました。

無理に予定していたメニューをこなすことは、かえって体調を悪化させてしまう可能性もあります。
そのため今回は、事前に用意していたトレーニング内容を一度すべて見直し、「呼吸器への負担を最小限にすること」を優先してメニューを再構成しました。

当日のサポート内容

まずは、デスクワークによって硬くなりやすい部位に対して、可動域を意識したエクササイズからスタートしました。

長時間の座り姿勢では背中が丸まりやすく、胸郭(肋骨周り)の動きが制限されます。
特に胸椎の可動性低下や肩甲骨の動きの制限は、肺の拡張を妨げる要因になります。

また、猫背姿勢が続くことで横隔膜の働きも低下しやすくなり、呼吸が浅く速くなる傾向があります。
このような状態は気道への刺激を増やし、咳や息苦しさを引き起こしやすくなります。

そこで、肩周りや体幹の可動域を引き出すエクササイズを中心に行い、呼吸がしやすい状態を整えていきました。

その上で、呼吸をコントロールしやすいスクワットなどの筋力トレーニングを取り入れ、無理のない範囲で全身の筋活動を引き出していきました。

筋トレで喘息症状が軽減したと考えられる理由

今回のように、有酸素運動ではなく筋力トレーニングによって症状が落ち着くケースには、いくつかの理由が考えられます。

過換気の抑制

有酸素運動では呼吸数が増えやすく、過換気(息の吸いすぎ)によって気道が刺激されやすくなります。
筋トレは動作に合わせて呼吸をコントロールできるため、気道への過度な負担を軽減できます。

冷気や乾燥の影響を受けにくい

有酸素運動では冷たく乾いた空気を多く取り込みやすく、それが気管支収縮の要因となることがあります。
筋トレは呼吸が比較的安定しやすく、この影響を受けにくい点も特徴です。

呼吸筋の活性化

スクワットなどの動作では、横隔膜や肋間筋、体幹筋群が連動して働きます。
その結果、呼吸効率が向上し、浅く速い呼吸から安定した呼吸へと変化しやすくなります。

姿勢改善による呼吸機能の向上

体幹や背部の筋肉が適切に働くことで姿勢が整い、胸郭が広がりやすくなります。
これにより肺がしっかり拡張し、呼吸がスムーズになります。

自律神経の安定

筋トレは適度に交感神経を刺激し、その後の回復過程でリラックス反応も得られます。
その結果、自律神経のバランスが整い、気管支の過剰な収縮が起こりにくくなる可能性があります。

当ジムのサポート方針

当ジムのパーソナルトレーニングでは、マニュアル通りの一律な指導は行っていません。

事前の評価だけでなく、その日の体調やコンディションを丁寧に確認した上でメニューを作成し、今回のように普段と違う状態であれば、その場で最適な内容へと柔軟に調整していきます。

身体づくりは単に運動を行うだけではなく、姿勢や呼吸、生活習慣などさまざまな要素が関わっています。
だからこそ、目の前の状態をしっかり見極めることが何より重要だと考えています。

今後も、お客様一人ひとりの状態や不安に寄り添いながら、「安心して続けられること」と「確実に前に進めること」の両立を大切にサポートしていきます。
トレーナー自身も日々学びを重ね、常により良いご提案ができるよう努めてまいります。