野球の練習や試合に入る前に欠かせないのがウォームアップです。
ただ「走ってストレッチする時間」ではなく、野球の動きに直結したメニューを組むことが、ケガ予防とパフォーマンス発揮の両方につながります。
特に肩や肘を酷使する投手、瞬間的な判断と動きを要求される野手、回旋力を使う打者。
それぞれの役割に応じた準備が必要です。
1. 野球のウォームアップの目的
- 体温と筋温の上昇 → 血流を促し、動きを滑らかにする
- 関節・筋の可動域拡大 → 肩・股関節の動きを試合向けに調整する
- 神経系の活性化 → 投球・打撃・守備動作に必要な反応速度を高める
- ケガ予防 → 特に肩・肘の故障リスクを減らす
2. ウォームアップの流れ(全体像)
- 全身を温める(5分) → ジョグ、サイドステップ
- 動的ストレッチ(8分) → 股関節・肩関節を中心に
- 競技特性ドリル(10分) → 投球・打撃・守備動作につなげる
- ポジション別エクササイズ(7分) → 投手・野手・捕手それぞれに特化
3. 具体的なメニュー
(1)全身のウォームアップ(5分)
- 外野をジョグしながら体を温める
- サイドシャッフル、クロスステップで多方向の動きを入れる
👉 野球特有の「横・斜めの初動」を早める準備
(2)ダイナミックストレッチ(8分)
- レッグスイング(股関節の可動域拡大)
- ランジ+体幹ツイスト(投打の回旋に直結)
- アームサークル(肩回りの可動域拡大)
- ヒップオープナー(盗塁やダッシュに必要な股関節外旋)
(3)競技特性ドリル(10分)
- キャッチボール前のチューブトレーニング(肩関節・肩甲骨周り)
- 外旋・内旋エクササイズ(ゴムチューブ)
- 肩甲骨リトラクション(肩甲骨を寄せる動作)
- 守備動作の準備
- ゴロ捕球フォーム → ショートスローの反復
- サイドステップから素早い捕球 → 送球の流れ
- 打撃動作の準備
- バットを短く持ってスイング → 股関節の回旋と胸郭の連動を確認
- ティーバッティングで“芯に当てる感覚”を軽く確認
(4)ポジション別エクササイズ(7分)
投手
- チューブでの肩外旋・内旋
- Y字レイズ(肩甲骨下部の安定)
- 軽いプライオメトリクス(メディシンボールを壁に投げる)
捕手
- 股関節ストレッチ → キャッチャースクワット姿勢保持
- クイックスロー動作(捕ってからすぐ投げる感覚をウォームアップ)
野手
- スプリント5〜10mを数本(スタート反応の刺激)
- サイドステップ&ターン → 捕球姿勢への切り替え
4. チェックポイント
- 「ストレッチ=静止型」ではなく、必ず動きながら可動域を広げる
- 肩周りは「小さな動きから大きな動き」へ段階的に負荷を上げる
- 全体で 20分前後 に収め、集中力が落ちないようにする
5. フィードバックと工夫
- 「今日の肩は軽いか」「股関節の動きはスムーズか」を自己評価
- チーム全員で“ルーティン化”することで、試合前のリズムを作る
- 動画で助走・スロー動作を撮影し、ウォームアップ効果を確認する
まとめ
野球のウォームアップは、
- 全身を温める → ジョグ・多方向ステップ
- 可動域を広げる → 股関節・肩関節を意識した動的ストレッチ
- 競技特性に直結する → チューブトレーニング、守備・打撃動作
- ポジション別に特化する → 投手・捕手・野手それぞれに必要な準備
という流れで組み立てるのが効果的です。
肩や肘の故障を防ぎ、試合に直結する動きを引き出すために、「一般的な準備運動」ではなく「野球のためのウォームアップ」を徹底しましょう。